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カントウタンポポ かんとうたんぽぽ 関東蒲公英

Kanto-tampopo(Japanese dandelion)

関東蒲公英,花
今では数が減ってきたニホンタンポポの代表種
日本の蒲公英
若い葉の様子
ツボミ,つぼみ
蕾の様子
カントウタンポポ,花の特徴
総苞は反り返らず上へ伸び、外側にツノ状の突起がある
カントウタンポポの果実
種子はセイヨウタンポポ同様、綿毛で飛んでいく
かんとうたんぽぽ,葉っぱ
葉の切れ込みはセイヨウタンポポほどではない
カントウタンポポ,茎
茎は中空で、表面には細かな毛が生じる

 

【カントウタンポポとは】

・関東地方と山梨県及び静岡県に分布するキク科の多年草。日本固有の在来種であるニホンタンポポの一つで、かつては野原、道端、土手のみならず住宅地でも普通に見られた。現在は繁殖力の高いセイヨウタンポポに駆逐され、都市部では姿を消しつつあるが、田園地帯では群生することもある。

 

・関東地方に多いことからカントウタンポポ、あるいはアズマタンポポと呼ばれる。「タンポポ」は古名をツヅミグサ(鼓草)といい、太鼓の音「タン、ポン、ポン」から転じたというが諸説ある。別名はタンポコ、タンポ、タンポナ、クズナ、ガンボウジなど。

 

・カントウタンポポの開花は3~5月のみ。ほぼ一年中咲いているセイヨウタンポポとは大きく異なる。花は葉の間から伸びた無数の花茎の頂部に、午前中だけ咲く。

 

・花は小さな舌状花の集まりで、下にある緑色の総苞が反り返らず直立する点もセイヨウタンポポとの大きな違い。また、総苞の外片にツノ状の突起があり、他のニホンタンポポと見分けるポイントとなる。総苞の長さは1.5~2センチほど。

 

・花が終わると褐色の果実ができ、白い冠毛(綿毛)によって遠くまで運ばれる。残された株は夏の間に地上部を枯らして休眠するが、秋以降、再び葉を広げて越冬する。多くのニホンタンポポは他家受粉が必要な虫媒花であり、自家受粉するセイヨウタンポポより増えにくい。

 

・葉は全てが根元から生じる根生葉で、その縁は普通、羽根状に切れ込みが入るが、セイヨウタンポポよりも大雑把なことが多い。よく知られた英名のダンデライオンは「ライオンの牙」の意で、葉の切れ込みをライオンの牙に見立てたもの。

 

・タンポポの葉や茎を切ると乳液を生じるが、これには催乳の作用がある。そもそもセイヨウタンポポは1904年にヨーロッパから北海道に入り、乳牛の乳の出をよくするために栽培されていたものが日本全土に広がったという。

 

・日本ではあまり馴染みがないものの、ヨーロッパではタンポポを食用する。フキノトウと同じキク科の草であるため、微かな苦味があるものの、ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、生の若葉は野菜サラダや天婦羅に、アク抜きしたものはお浸しや胡麻和え、油炒めなどにして食べることができる。

 

・漢方では生薬名をホコウエイ(蒲公英)といい、開花寸前に採取した根を乾燥させ、これを煎じたものを健胃、消化促進、解熱、強壮などに使う。戦時中のドイツでは干した根をローストし、コーヒーの代用にしたという。採集の最適期は春だが、年間を通じて食用できる。

 

・カントウタンポポを含むニホンタンポポがセイヨウタンポポに追いやられている理由は大きく二つある。一つは戦後、コンクリートで覆い尽くした地面がアルカリ化し、酸性土壌を好むニホンタンポポが生育できなくなったこと。二つ目はセイヨウタンポポには夏冬の休眠期がなく、ニホンタンポポが苦手な乾燥地でも自家受粉しながら繁殖したこと。

 

【カントウタンポポに似ている草花】

・ニホンタンポポには10を超える種類があり、北から順にシコタンタンポポ、エゾタンポポ、カントウタンポポ、トウカイタンポポ(ヒロハタンポポ)、カンサイタンポポとなるが、総苞の幅や突起の有無による違いであり、素人には見分けにくい。

 

・比較的見分けやすいニホンタンポポには、関東から九州の各地に育つ白花のシロバナタンポポ、背が高いセイタカタンポポ、高地に育って花色が濃いミヤマタンポポ、ヤツガタケタンポポがある。

セイヨウタンポポとニホンタンポポの違い
セイヨウタンポポは総苞が反り返って下向きになる
白花蒲公英
シロバナタンポポ

カントウタンポポの基本データ

 

【分 類】キク科/タンポポ属

     多年草

【漢 字】蒲公英(たんぽぽ)

【別 名】アズマタンポポ/ツヅミグサ(鼓草)

     タンポコ/タンポ/タンポナ

     クズナ/ガンボウジ

【学 名】Taraxacum platycarpum

【英 名】Japanese dandelion

【開花期】~5

【花の色】黄色

【草 丈】~30cm

 

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