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カリヤス/かりやす/刈安
Kariyasu(Small carpgrass)
【カリヤスとは】
・本州(東北~近畿)に分布するイネ科の多年草。山地に群生するススキの近縁種でありススキに似るが、草丈がより小さく茎が中空で「刈り安い」ことなどから、カリヤスと名付けられた。
・非常に地味な草であるが古くから染料に使われ、「冠位十二階」や枕草子にもその名が登場。黄色といえば本種で染めた色を示していた時代もある。
・カリヤスは他の染料と比べて入手しやすく、作業も比較的簡便であるため、主に身分の低い者の衣類を染めるのに使われた。染料としてのカリヤスの名産地は滋賀県(近江国)の伊吹山で、ここで採取されたものは特に「近江刈安」と呼ばれる。
・カリヤスの開花は8~9月で、枝先にススキのような花を咲かせるが、ススキに比べると穂は少なく、穂先に芒(のぎ=刺状の突起)がない。
・葉は幅1.5センチ、長さ10~30センチほどの広い線形。質は薄くて先端は尖り、茎から互い違いに生じて基部は茎を抱く。茎は細い円柱形で株元から複数が直立。染料にするのは乾燥させた茎葉を煮出したもの。
【カリヤスに似た植物】
同じように染料に使われ、カリヤスと呼ばれることもある草本だが、本種とは別物でコブナグサ属に属する。
カリヤスの基本データ
【分 類】イネ科/ススキ属
【漢 字】刈安(かりやす)
【別 名】カイナ(加伊奈)
ヤマカリヤス
カリヤスグサ
イブキカリヤス
【学 名】Miscanthus tinctorius
(Steud.) Hack.
【英 名】Small carpgrass
【開花期】8~9月
【花の色】黄褐色
【草 丈】~120cm