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カラスビシャク/からすびしゃく/烏柄杓
Crowdipper(Karasu bisyaku)
【カラスビシャクとは】
・日本各地に分布するサトイモ科の多年草。山地の林内のみならず、日当たりのよい道端や土手、田畑などに見られる。花を覆う苞の様子を、カラスが使うであろう柄杓(ひしゃく)に見立ててカラスビシャクと名付けられた。
・朝鮮半島や中国にも分布しており、漢名を「半夏(はんげ)」という。葉柄にできるムカゴ(珠芽)や塊根を薬用するが、繁殖力の高さから、いわゆる雑草扱いされることが多く、「百姓泣かせ」という地方名もある。
・カラスビシャクの開花は5~8月。地下にある塊根から伸びた花茎の先に筒状の苞を出し、その内部に肉質の花穂ができる。カラスビシャクは雌雄同株で、花穂の上方に雄花が、下方に雌花が密生するが、特徴的なのは苞の外へ飛び出すムチのような花軸。その内側には短毛を生じ、ビロード状になる。
・花茎は長さ20~40センチで葉よりも高い位置に開花し、筒状の苞(仏炎苞という)は緑色あるいは紫がかった褐色になる。花が終わると仏炎苞の中には水分を含んだ緑色の果実ができる。
・地下にある塊茎は直径1センチほどの球形で、この先端から長さ10~20センチの細い葉柄が1~5本、地上に伸びる。葉は長楕円形の小葉が3枚一組で葉柄の先につくが、ムカゴはその下部にできる。
・漢方ではムカゴも「半夏」と呼んで薬用する。花のある7月初めに採取したムカゴや根を煎じて飲めば、吐き気、喉の腫れ、つわりなど効果があるといい、かつて農婦が田畑の畔などで摘んで薬屋に売り、小金を溜め込んだことから、「ヘソクリ」という別名がある。
・ただし、カラスビシャクは近縁種と同様、毒性があり、球根や果実の汁液に蓚酸カルシウム王組む。汁液に触れるとかぶれや発疹を生じ、誤って食べると口内炎、胃炎、嘔吐、下痢などを引き起こす。
【カラスビシャクに似た植物】
・ムサシアブミ
・オオハンゲ
大きなハンゲ(カラスビシャク)でオオハンゲであり、葉や草丈はカラスビシャクよりも大きいが、葉は深く三つに裂けるが単葉(一枚の葉)であり、また、ムカゴはできない。
カラスビシャクの基本データ
【分 類】サトイモ科ハンゲ属
多年草
【漢 字】烏柄杓(からすびしゃく)
【別 名】ハンゲ(半夏)
シャクシグサ(杓子草)
百姓泣かせ
カラスノオキュウ
ヘソクリ
ヘベスッタマ
【学 名】Pinellia ternata
【英 名】Crowdipper
【開花期】5~8月
【花の色】緑色
【草 丈】~40cm