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カキドオシ/かきどおし/垣通し
Kakidoshi(Japanese Grand Ivy)
【カキドオシとは】
・北海道~九州に分布するシソ科の多年草。日当たりのよい野山、土手、道端に自生するが、園芸ではグレコマと呼んで庭のグランドカバーに使うこともある。
・茎が地を這って横へ広がり、垣根の隙間を通り抜けて隣の庭に侵入するほど育つため、カキドオシと名付けられた。日本以外でも北半球の温帯に見られ、中国では「活血丹」という。
・カキドオシの開花は3~5月で、葉の付け根から伸びる花柄に1~3輪ずつ咲く。花は直径2~3センチの唇形だが、その大きさは個体によって異なる。上唇の先は浅くへこみ、下唇の部分は二つに裂けて大きく突き出し、濃い紫色をした斑点模様と白い毛が目立つ。雄しべは4個だが、うち2個は長く、上唇の内側に沿って伸びる。裏側にある萼は長さ7~9ミリで五つに裂けて先端が尖り、多数の脈がある。
・葉は直径1.5~5センチの円形でチドメグサに似る。表面に艶はなく縁には丸みを帯びたギザギザがあり、長めの葉柄が茎から対になって生じる。葉の裏面には腺点と呼ばれる小さな穴があり、葉や茎を手で揉むとハッカ(ミント)のような香りがする。若いカキドオシの葉は食用となり、生のまま天婦羅にして食べることができる。暖地では冬季も葉を落とさない常緑性になるが、寒冷地では落葉する。
・茎は白っぽい毛が密生し、断面は方形。高さ5~20センチほどに立ち上がるが、花が終わる頃には倒れて蔓状となり、節々から根を出して広がる。茎(蔓)は時に長さ1mにも達するため、庭で栽培する際には定期的に管理する必要がある。
・カキドオシの生薬名は「連銭草(れんせんそう)」で、丸い葉が連なるように生じる様を銭に見立てたことによる。民間療法では全草を煎じて飲み、冷え症、低血圧、虚弱体質に用いる。また、血糖値の抑制に効果があるという研究結果から、健康茶や健康酒にも使われる。かつては神経質な子供の癇癪(かんしゃく)や夜泣きを鎮めるのにも使われ、「カントリソウ(癇取草)」という別名がある。
【カキドオシの品種】
葉に白い模様の入る斑入り種があり、ガーデニングに使われる。
【カキドオシに似た草花】
・タツナミソウ
・コバノタツナミ
カキドオシの基本データ
【分 類】シソ科/カキドオシ属
多年草
【漢 字】垣通し(かきどおし)
【別 名】カントリソウ
レンセンソウ
【学 名】Glechoma hederacea
subsp. grandis
【英 名】─
【開花期】3~5月
【花の色】淡い紫~紅色
【草 丈】~20cm