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カキツバタ/かきつばた/杜若
Rabbit-ear Iris/Shallow-flowered Iris
【カキツバタとは】
・北海道~九州(主に本州)に自生するアヤメ科の多年草。よく似るアヤメは乾燥気味の草地に生じるが、カキツバタは浅い池沼の岸辺などの湿地に見られる。日本以外でも東アジアの各地に分布。
・カキツバタの開花は5~6月だがアヤメよりやや遅い。「いずれアヤメかカキツバタ」の慣用句が象徴するように、両者の花は似るがアヤメはよりほっそりしており、花の青みが強い。また、花弁(外花被)の基部にある模様が異なり、アヤメには紫色の網目模様が入る。
・優美な花は万葉の時代から詩歌に詠まれ、枕草子や伊勢物語にもその名が登場する。美術品や工芸品の題材としても好まれ、その代表である尾形光琳の「金地燕子花図屏風」は国宝に指定される。カキツバタを家紋や校章に使う例も多い。
・漢字表記は「杜若」を使うことが多いが、これは本来、ヤブミョウガの漢名。花の姿が飛ぶ燕を思わせるため「燕子花」も使われる。花の構造は分かりにくいが、花弁(実際は花弁と萼からなる花被片)は外側に3枚、内側に3枚の計6枚に分かれる。
・外側の花弁(外花被片)は幅4~5センチの大きな楕円形で、アヤメの仲間では最大となる。基部には細長い三角形の斑点模様があり、先端は垂れ下がる。内側にある小さな花弁(内花被片)は直立し、その末端には光沢がある。雌しべ(花柱)の先端は三つに裂ける。花茎は葉よりも低いのがハナショウブとの見分けのポイント。
・カキツバタという名は、「書付け花」が転訛したもので、奈良時代にこの花の汁を使って衣服を染めた。一般的な花色は濃い青紫だが、園芸品種には紅紫、白、白い筋模様の入るものなどがある。ただし、他のアヤメ類に比べると園芸品種は少なめ。また、名前の由来には他にも、垣根の中に植えたことを意味する「垣津」が転訛したとする説もある。
・カキツバタの葉は長さ70~90センチの剣状で先端が尖り、花茎よりも上に伸びて垂れ下がる。アヤメに比べると葉の幅は広く、基部はサヤ状で茎を包む。細い葉脈が縦方向に走るがハナショウブのような隆起した主脈はなく、これもハナショウブとの見分けのポイントになる。
・カキツバタの日本三大自生地は、愛知県刈谷市の小堤西池、京都市大田神社、島根県岩美町の唐川湿原。かつては各地に群生地があったが、開発によって個体数は減りつつあり、名所に残る個体は天然記念物とされる。
【カキツバタの品種】
・四季咲きカキツバタ
5~6月以外にも咲く品種。ただしやはり初夏の花数が多いい。
【カキツバタに似た草花】
・アヤメ
・シャガ
・イチハツ
カキツバタの基本データ
【分 類】アヤメ科/アヤメ属
多年草
【漢 字】杜若/燕子花(かきつばた)
【別 名】カオヨバナ(顔佳花)
カオヨグサ(顔佳草)
カオバナ/カイツバタ
【学 名】Iris laevigata
【英 名】Rabbitear Iris
Shallow-flowered Iris
【開花期】5~6月
【花の色】青紫
【草 丈】50~90㎝