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モッコウバラ/もっこうばら/木香薔薇
Banksia rose
【モッコウバラとは】
・中国中南部を原産とするバラ科の蔓性植物。古典的な蔓薔薇の一つであり、バラとしては小ぶりな花をいかして、フェンス、トレリス、アーチ、生垣、盆栽などに使われる。トゲがないためバラとしては管理が易しく、一般家庭での植栽も多い。
・モッコウバラが中国から日本へ渡来したのは江戸時代の享保年間。モッコウは中国名「木香花」の音読みで、香りがキク科のモッコウの根に似ることによる。白花が原種で、黄花に比べると開花はやや遅く花数も少ない。黄花をキモッコウ、白花をシロモッコウと呼んで区別することも。
・モッコウバラの開花は新葉の展開と同時期の4月下旬~5月頃。枝先に直径約2センチの白または淡い黄色の花を2~3輪まとめて咲かせる。花は八重咲きで、白花にはスミレのような芳香があるが、黄花には芳香がない。
・果実はできず、3月に挿し木で増やすのが一般的。前年に伸びた枝をT字にした「撞木挿し」によって行うと、挿した翌年には開花する。
・葉は3~5枚の小葉が集まって長さ10センチほどの羽根状になり、枝から互い違いに生じる。葉の表には光沢があり、裏面の脈や葉の軸には細かな毛がある。枝には毛もトゲもなく、フジのように枝分かれが多い。
【モッコウバラの育て方のポイント】
・日当たりの良い場所を好むが、明るい日陰であれば育つ。病気や害虫には強い。寒冷地での生育は難しいが、温暖化に伴い北海道でも開花する事例が増えている。
・水はけの良い肥沃な砂壌土を好むため、植え穴にはあらかじめ腐葉土などを入れておくのがよい。
・成長は早く、肥料を施せば年間に1m以上伸びる。麻縄やシュロ縄で誘引し、つるが四方に拡散しないようにして管理すれば、花に覆われた垣根ができる。
・成長は旺盛だが、根元の枝葉がなくなりやすいため、株元の徒長枝を大切にする。また、花は前年に伸びた枝に咲くため、冬季に若い枝(緑色の枝)を見極めながら剪定するとよい。
【モッコウバラに似ている花木】
同じく中国を原産とするバラで、現在普及している多くのバラの原種の一つとされる。花色はピンク(濃淡あり)あるいは白で、一重と八重がある。開花は5月がメインだが、真夏と真冬以外は開花する四季咲きの性質を持つ。モッコウバラとは異なり、枝には多少トゲがある。
・ハマナス
モッコウバラの基本データ
【分類】バラ科/バラ属
常緑広葉/つる性小低木
【別名】バンクシアローズ/スダレイバラ
モッコウカ
【学名】Rosa banksiae
【成長】早い
【移植】難しい
【長さ】6~7m
【用途】フェンス/アーチ/垣根
【値段】1000円~