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フユイチゴ/ふゆいちご/冬苺
Huyu ichigo(Buerger raspberry)
【フユイチゴとは】
・千葉県以西の本州、四国及び九州に分布するキイチゴの仲間。果実が晩秋から初冬に熟すためフユイチゴと命名された。自生するのは冬季でも積雪のないような低山や沿海の林床だが、殺風景な季節に緑色の葉と赤い実のコントラストが美しく、寄せ植えやグランドカバーとして庭園に使われる。日本以外では中国や朝鮮半島に分布。
・フユイチゴの開花は8~10月で、枝先にある葉の脇から伸びた花茎に、直径1センチ大の白い花が5~10輪ほど、時期をずらしながらまばらに咲き続ける。花には長さ7~9ミリの花弁と一回り大きな萼が5枚ずつあり、中央には多数の雌しべと雄しべが突き出す。萼や花柄にはクリーム色をした長い毛がある。
・果実は直径1センチほどの球形で、水分の多い小さな果実が多数集まった「集合果」と呼ばれるタイプのもの。果実が赤く熟すのは11月から翌春で味は甘酸っぱく、生食のほかジャムやジュースにして食用される。
・葉は直径5~10センチのハート形に近い丸。枝から互い違いに生じ、縁は浅く3~5つに裂けて細かなギザギザがある。表面は毛が少なくやや光沢を放つが、裏面や茎には曲がった短い毛が密生している。基本種の葉は濃緑だが、近年は白い模様が入る品種(三光曙斑=クラシックホワイト)の人気が高い。環境によっては晩秋に赤や黄褐色に色付く。
・枝は横へ長く匍匐し、着地した先で新たな苗を作りながら増えていく。草のような雰囲気だが、古い茎は木質になり、冬季でも地上部が残って葉が青々としているため「木」に分類される。個体によっては茎に小さなトゲがあるが、指で触れてもさほど痛くない。
【フユイチゴの育て方のポイント】
・耐寒性や耐暑性があり、土質を選ばずに育つが、自生するのは大きな木の下で日陰になるような場所が多い。強い日差しや霜にはやや弱く、葉が傷んだり、冬季に葉を落としたりすることもある。
・匍匐茎によって増えるが、成長は緩やかであり、剪定が追い付かないほど繁茂することはない。病害虫にも強い。
・安定的に開花、結実させるには月に一度ほど肥料を施した方がよい。
【フユイチゴの品種】
・マルバフユイチゴ
フユイチゴと同じ地域に分布するが、葉がまるく、表面に著しいシワがある。花や実はフユイチゴよりもやや早い。
・コバノフユイチゴ
葉がより小型で、全体に刺が密生するもの。杉林の中に多い。
・オオフユイチゴ
葉がやや大きく、茎や葉の裏面に毛が多い。
・ミヤマフユイチゴ
フユイチゴよりも海抜の高い地域に分布する品種。葉の先端が尖り、葉の毛が少ない。フユイチゴと同じ場所に育つこともあり、フユイチゴとの交配種であるアイノコフユイチゴもある。
【フユイチゴに似た木】
・ホウロクイチゴ
中部地方以西の臨海地に自生する近縁種。葉はより大きくて縁のギザギザが粗く、裏面には毛が密生する。果実は直径2センチにもなり、摘み取るとヘタの跡が焙烙(豆を煎るときに使った椀)のように陥没する。その他、フユイチゴに近縁のキイチゴは以下のとおり。
フユイチゴの基本データ
【分類】バラ科/キイチゴ属
常緑蔓性/小低木
【別名】カンイチゴ(寒苺)
ルブス
【学名】Rubus buergeri
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】~20cm
【用途】果樹/グランドカバー
【値段】1,500円~