庭木図鑑 植木ペディア > ノブドウ
ノブドウ/のぶどう/野葡萄
Japanese wild vine
【ノブドウとは】
・日本各地の山野、丘陵、平地の藪や川の土手などに自生する落葉性の蔓性植物。「野に生えるブドウ」でノブドウと呼ばれるが、いわゆる普通のブドウや、本種に似たエビヅルと違って果実は食用にならない。
・葉は直径4~12センチ、幅4~10センチほどの手のひら状で、3~5つに深く裂け、縁には粗いギザギザがある。先端は尖り、基部はハート形。表面は濃緑色で毛がなく、裏面は淡い緑色で、葉脈の縁に少しだけ毛がある。
・葉は蔓から互い違いに生じ、葉と対になって生じる巻きヒゲが二股に分かれ伸び、他の植物に絡みつきながら育つ。果実は食用にならないが、若い芽は山菜として食用できる。
・ノブドウの開花は5~8月で、花茎は葉と対になって生じる。淡い緑色をした直径3~5ミリほどの小花には雌しべ(柱頭)1個と雄しべ5個があり、ヤブガラシの花と同様、「花盤」から蜜の出る様子を観察できる。雌雄同株。 、
・果実は直径6~8ミリの歪んだ球形で、一房に2~7粒ほどしかならない。でき始めは緑色で、後に薄い白緑色、ピンク、赤紫、青、黒へと変化する。色の移りゆく様が美しく、錦ブドウという別名がある。
・ノブドウの果実は大きさや形が不揃いで、表面に凹凸や斑点のできることが多い。これはノブドウミタマバエやブドウトガリバチなどが寄生して「虫こぶ」となっているためで、果実の成熟と共に内部の幼虫が成長している。色の変化もこれらの寄生によるという。
・虫こぶとなった果実には多量のタンニンが含まれるため、渋味があり、果肉も乏しくて生食できない。野鳥の人気も乏しく、オナガ、ヒヨドリ、カワラヒワなど一部の野鳥以外は集まらない。ただし毒性はないため、虫が入っていないものは果実酒作りに利用できる。また、虫さされの痒み止めとして使うことがある。
・薄い緑色あるいは赤紫色をした若い蔓は細くて切れやすいが、基部は木質になり、樹齢を重ねれば直径4センチほどに達するが、地上部は冬季に枯れることが多い。蔓は普通、ジグザグに伸び、節の部分は肥大化する。
・ノブドウは中国や朝鮮半島にも自生し、漢名を「蛇葡萄(じゃぶどう)」という。これは食用にならないことを意味するが、秋に掘り出して日干しした根や蔓を煎じたものは、関節炎や眼病の薬に用いる。
【ノブドウの育て方のポイント】
・郊外の藪で普通に見られる植物であり、家庭で栽培する例は少ないが、日当たりの良い場所であれは土質を選ばずに育つ。日陰では花つきが悪いばかりか、病害虫の被害に遭いやすい。
・放置すると繁茂して手に負えなくなるため、定期的な剪定が必要。
【ノブドウの品種】
・キンバノブドウ
葉に深い切れ込みがあり、その裂片がさらに波状に切れ込む品種。
【ノブドウに似た植物】
・エビヅル
・ウドカズラ
・カガミグサ
ノブドウの基本データ
【分類】ブドウ科/ノブドウ属
落葉つる性/広葉
【別名】イシブドウ/イヌブドウ/ウシブドウ
ウマブドウ/クブドウ
【学名】Ampelopsis glandulosa
var. heterophylla
【成長】早い
【移植】簡単だが掘り起こすのが困難
【高さ】5m~10m
【用途】棚/フェンス/トレリス
【値段】─