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ノウゼンカズラ/のうぜんかずら/凌霄花
Trumpet Flower
【ノウゼンカズラとは】
・中国を原産とするノウゼンカズラ科の蔓性植物で、俳句の季語にもなっているオレンジ色の花を観賞するため、庭木として植栽される。日本へ渡来したのは西暦900年代(延喜年間)のことで、当初は主として薬用に栽培された。
・ノウゼンカズラという名前は、他を凌駕して空を覆うほどに育つことを意味する中国名「凌霽」に由来する。当初はリョウショウと読んだが、それがノウショウからノウゼンに転訛したという。カズラは「蔓性植物」の意味。
・花期は6~8月で、枝先から伸びた20~40センチの花序が房状に垂れ下がる。花の直径と長さは5~6センチほどで、基部は筒型、上部はラッパ状で先端は少し歪んで五つに裂ける。雌しべは長さ4センチ弱で先端は舌状に広がって二つに裂ける。雄しべは4つあるが、うち2つが長い。
・花は朝開いて夕方に閉じる一日花だが、全体としての花期は長く、サルスベリと共に花の少ない夏の庭を彩る。晴天が続くとよく開花し、曇天では咲きにくい。
・花の後には長さ6~10センチほどの豆状の果実ができるが、日本では花が途中で落ちやすく、結実しにくい。このため繁殖は通常、株分けや挿し木により、挿し木は落葉期に採取した一年目の枝を使う。
・葉は先端1枚と3~4対の小葉が集まって長さ20~30センチの羽根状になる。小葉は長さ3~6センチ、幅2~4センチの卵形で先端が尖り、縁には粗いギザギザがある。
・ノウゼンカズラは蔓の節から気根を発生して壁面や他の樹木に絡みつく性質を持つ。このため農家の庭先や神社仏閣では枯れた大木を覆うように上空まで繁茂し、まるでそこに「オレンジ色の花を咲かせる大木」があるかのように振舞うことがある。一般的にはフジやブドウなどのように、棚を作って鑑賞する。
・漢方では乾燥させた花、葉、根を利尿や通経に使うが、全草にラパコールという有毒物質を含んでおり、日本では有毒植物とされる。花の中に溜まった水に触れると炎症やかぶれを起こし、誤って眼に入ると失明するとさえいわれ、植栽を忌み嫌うこともあった。
【ノウゼンカズラの育て方のポイント】
・日当たりの良い場所であれは土質を選ばずに育ち、長期にわたって花を咲かせる。
・日陰では花つきが悪いばかりか、カイガラムシ等の被害にも遭う。
・湿気があり、かつ、水はけの良い場所が望ましい。
・寒さを苦手とする暖地性であり、北海道や東北地方での栽培は難しい。
・若木のうちは開花しにくく、直径3センチを越えるころからよく咲くようになる。一方、株が繁茂し過ぎても花付きが悪くなる。一般家庭では邪魔になりがちであるため、数年に一度、冬期に小枝をすべて取り除き、幹だけにするような強めの剪定を行う。
・花は上向きに咲くため、棚を作る場合は花が視線よりも下に来るよう、低めに作る。
【ノウゼンカズラの品種】
・アメリカノウゼンカズラ
アメリカ中南部を原産とする仲間で花の色は同じかやや濃いめだが、形状はより細長く、本種と比べると明らかに小さい。このため「コノウゼンカズラ」という別名がある。
・ピンクノウゼンカズラ
文字どおりピンクの花を咲かせるものだが、本種とは別属(ポドラネア属)。ハリミノウゼン、モモイロノウゼンともいう。
このほかに枝葉が小さい「ヒメノウゼンカズラ」や黄色い花が咲く「キバナノウゼンカズラ」などの品種がある。
ノウゼンカズラの基本データ
【分類】ノウゼンカズラ科
ノウゼンカズラ属
落葉つる性広葉/中木
【漢字】凌霄花/乃宇世宇加都良/紫葳
【別名】ノウゼン/ノウゼンカツラ
ノウゼンノハナ/マカヤキ
【学名】Campsis grandiflora
【成長】かなり早い
【移植】簡単だが掘り起こすのが困難
【高さ】5~10m
【用途】公園/寺院/棚
【値段】1200円~