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ノイバラ/のいばら/野荊
Japanese Rose
【ノイバラとは】
・沖縄を除く日本各地に分布するバラ科の落葉つる性低木。山林の縁や川岸の岩場、そして郊外の道路沿いや空き地など、日当たりのよい場所に自生する。
・「ノバラ」として親しまれるものの代表種。漢名は「野薔薇」で、日本のほか朝鮮半島や中国にも見られる。ヨーロッパにも野バラがあるが、ピンク色の花を咲かせる別種でありシューベルトの野バラはそちらをモチーフにしている。
・野に咲くイバラでノイバラと名付けられたが、「イバラ(荊)」は棘のある植物の総称であり、本種に限らない。
・バラの園芸品種は世界に約3万種あるが、本種はテリハノイバラやハマナスと並ぶ重要な原種であり、万葉の時代から歌に詠まれる。バラとしては地味だが、世界中のバラの品種改良に多大な貢献を果たしている。
・ノイバラの開花は5~6月で、枝先に白い花が円錐状に並んで咲く。花の直径は2~3センチで一般的なバラより小さいが、芳香は強く、香水にも使われる。花弁は5枚あり、その先端はくぼむ。
・花よりも目立つ「実」は萼筒が変化した偽果であり、底部には萼片の跡が残る。秋から冬(9~11月)にかけて赤く熟すと、カワラヒワ、オナガ、キレンジャクなどの野鳥がこれを採食する。
・ノイバラの偽果にはほのかな甘みがあり、ジャムや果実酒あるいは装飾用に使われる。未熟な実を乾燥させたものは漢方薬で「栄実/営実(エイジツ)」と呼ばれ、利尿、下痢止め、肌荒れ予防などに効果があるとされる。近年では美白やアンチエイジングの化粧品に、ノイバラの果実エキスが使われる。
・葉は7~9枚の小さな葉が集まって羽根状になり、枝から互い違いに生じる。小葉は両端の尖った楕円形で縁には鋭いギザギザがある。枝は蔓性で分岐が多く、鋭い棘で他物に絡みついて育つが、自立することも多い。
【ノイバラの育て方のポイント】
・植え付けは日当たりの良い場所に限る。
・寒さに強く、北海道でも南部であれば植栽できる。
・土質は問わず生育は旺盛で、病気や害虫、剪定にも相当に強い。
・野生にありふれているため、バラとしてあえて庭に植えるような種ではなく、耐寒性並びに花を多く咲かせる性質を利用して、園芸用のバラの台木にして使うのが一般的だったが、近頃はいろいろな品種が流通しておりノイバラ自体を楽しむことができる。
【ノイバラの品種】
・テリハノイバラ(照葉野茨)~葉の表面に艶があり、枝葉は地面を這う。
・サクラノイバラ(サクラバラ)~ピンク色の花が咲く。
・ヒメイバラ(一才バラ)~矮性の品種で大きくならない。
・トゲナシノイバラ~棘のない品種
ノイバラの基本データ
【分類】バラ科/バラ属
落葉つる性広葉/低木~中木
【別名】ノバラ(野薔薇)
イヌイバラ/イバラショウビ
イバラ/ウバラ
【学名】Rosa multiflora
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】1~3m
【用途】フェンス/切り花
【値段】300円~