庭木図鑑 植木ペディア > ツルグミ
ツルグミ/つるぐみ/蔓茱萸
Tsurugumi
【ツルグミとは】
・本州(新潟県/福島県以西)、四国、九州及び沖縄に分布するグミ科の蔓性低木。低山の林内や海辺の丘陵地など温暖な場所に多く、蔓状の細い枝を長く伸ばすことからツルグミと呼ばれる。日本以外では韓国、中国本土及び台湾に分布。
・ツルグミの開花は10~11月で、淡い褐色をした小花が葉の脇に2~3輪ずつ垂れ下がる。花の下部にある萼は筒状でその長さは4~6ミリほど。萼や花柄には赤褐色の毛が密生し、花先は四つに裂ける。
・ナワシログミやマルバグミと同じような花で見分けるのは難しいが、本種は秋から冬にかけて花が咲くこと、毛に覆われた萼が下へいくほど細くなり、他のグミよりも筒部のクビレが小さいのが特徴。
・花が終わるとたくさんの「実」ができるが、これは萼の下部が変化した「偽果」であり、正確には実ではない。偽果は長楕円形の多肉質で、長さは1.2~2センチほど。翌年の4~6月に赤く熟すと食べることができるが、中には黄褐色の種子が一粒含まれる。
・ツルグミの葉は長さ4~8センチ、幅2.5~4センチの長楕円形でやや革質。若葉の表面は黒っぽい毛で覆われるがすぐに脱落し、光沢のある緑色となる。グミの仲間は葉裏が銀白色になるものが多いが、本種は平らな星状に毛が密生して赤褐色になる。このためツルグミには「緋茱萸(ヒグミ)」という別名がある。葉は枝から互い違いに生じる。
・「蔓性」としているが、他の樹木に絡まって伸びる完全な蔓性ではなく、幹の途中から出る下向きの枝を他物に引っ掛け、寄り掛かるように育つ。樹齢を重ねた枝(蔓)や幹は黒褐色で、直径10センチほどになるが、材は丈夫で粘り強く、囲炉裏のカギや道具の柄に使われる。
【ツルグミの育て方のポイント】
・日向で阿あれば土質を選ばずに育つ。病害虫の被害もほとんどない。
・成長が著しく、蔓状の枝を放置すると他の庭木に絡んで見苦しくなる。このためフェンスや棚などに仕立てるのが普通。また、幹から伸びる蔓を切れば独立することも可能。芽を出す力は盛んであり、強い剪定にも耐える。
【グミの仲間】
・ナツグミ
・トウグミ
・アキグミ
ツルグミの基本データ
【分類】グミ科/グミ属
常緑つる性/低木
【学名】Elaeagnus glabra
【別名】ヒグミ/モロナリ
【成長】かり早い
【移植】困難(挿し木で増やすのが一般的)
【高さ】─
【用途】公園/洋風庭園/棚
【値段】1200円~