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ツルアジサイ/つるあじさい/蔓紫陽花
Climbing Hydrangea
【ツルアジサイとは】
・北海道~九州の山地に分布するアジサイ科ツルアジサイ属のつる性落葉低木。原産地の日本で庭木として使うのは稀だが、ヨーロッパへ渡ったものは人気を博し、トレリスやフェンスを使った庭木として広まっている。耐寒性が高く、南千島、樺太及び朝鮮半島の南部にも自生する。
・蔓性のアジサイという意味でツルアジサイと呼ばれ、幹や枝から気根を出し、他物に絡まって育つ。よく似たイワガラミはアジサイ科イワガラミ属。
・ツルアジサイの開花は梅雨時の6~7月。枝先に伸びた直径10~15センチほどの円形花序に、多数の小花が集まって咲く。アジサイと同様、中央にあるレース状の部分が本当の花の集りであり、外側に目立つ花弁のようなものは装飾花である。
・花は雌雄の別がない両性花。合体した5枚の花弁があるが、開花直後に落下するため、線香花火のように伸びるの雄しべだけが目立つ。白い装飾花は直径3~6センチほど。3~4枚単位で生じるのがイワガラミとの明確な違い。
・花の後には小さな球形の乾いた果実ができ、9~10月になると花柱(雌しべの跡)や萼片を残したまま褐色に熟す。内部には翼のある種子を含み、これが拡散されることで繁殖するが、園芸では挿し木で増やすことが多い。
・ツルアジサイの葉は蔓から対になって生じ、長さ5~10センチほどの広い卵形になる。葉の先端は尖り、基部は円形あるいはハート形。縁には30対以上の細かなギザギザが規則的に並ぶ。葉の大きさや形には個体差や変異がある。
・新芽はキュウリのような香りがあるが、クセやアクがなく、お浸しや和え物にして食用される。
・蔓には「気根(付着根)」と呼ばれるヒゲ根を多数生じ、自然界ではカラマツなどの針葉樹や岩場を這い上がるように育ち、10mを超える高さまで登ることも珍しくない。樹皮は褐色で、樹齢を重ねると薄く剥がれ落ちる。
【ツルアジサイの育て方のポイント】
・耐寒性が高いため、日本全国で育てられる。病害や害虫にも強い。
・環境への適応力はあるが、腐植質に富む土壌を好むため、継続して花を観賞したい場合は定期的に肥料を施すのがよい。
・湿気の多い場所を好み、乾燥と夏の暑さを嫌う。多数の花を観賞するには日向へ植栽した方がよいが、半日陰の方が育てやすい。
・気根を生じながら繁茂するため、トレリスやパーゴラにして管理するのが普通。定期的な剪定が欠かせないが、晩夏以降に剪定すると翌年の花数が少なくなるため注意したい。
【ツルアジサイに似ている植物】
・常緑ツルアジサイ
メキシコを原産とするアジサイ属の仲間。冬季でも緑の葉を保つため庭木としてはより好まれる。
【イワガラミとの違い】
・イワガラミの装飾花は1枚のみ。ツルアジサイは3~4枚ある。開花はイワガラミの方が遅い。また、イワガラミの葉の縁には、ツルアジサイより鋭い(大きい)ギザギザが疎らにある。
ツルアジサイの基本データ
【分類】アジサイ科/ツルアジサイ属
落葉つる性/広葉
【別名】ツルデマリ/ゴトウヅル
【学名】Hydrangea petiolaris
【成長】早い
【移植】困難
【蔓長】10~20m
【用途】パーゴラ/トレリス/フェンス
【値段】1200円~
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