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ツタウルシ/つたうるし/蔦漆
Asian poison ivy
【ツタウルシとは】
・北海道~九州に分布するウルシ科のツル性植物。各地の山間に見られるウルシの仲間だが、ツタのような木質の蔓を他の樹木や石垣に絡ませて育つ性質を持つため、ツタウルシと名付けられた。日本以外では中国の東北部に自生し、中国名を「鉤吻」あるいは「野葛」という。
・葉は長さ3~15センチの小葉が3枚一組となり、蔓から互い違いに生じる。表面は無毛で、若葉には光沢があるが裏面は葉脈上に毛がある。葉柄は3~6センチほど。一般に葉は大型でよく目立つが、幼木と成木では葉の大きさが極端に異なる。また、幼木の葉の縁には粗いギザギザがあるが、成木の葉の縁にはギザギザがない。
・9~10月になると他の樹木に先駆けて紅葉し、秋が深まると息をのむほどの美しい赤や黄色に染まるが、葉の表面からウルシオールという毒性のある物質を出しているため、手で触れるのはもちろん、近くを通行しただけでかぶれる人もいる。
・蔓から伸びる気根(付着根)を他物に絡ませながら上方へ伸び、時には樹木の頂上に達するが、崖の斜面などでは地を這うように横へ広がることもある。蔓の直径は最大15センチにもなり、若い枝には褐色の毛があるが後に剥落する。蔓や葉柄をちぎると黄色っぽい乳液が出てくるが、これにはかぶれの原因となるラッコールが含まれる。
・ツタウルシの開花は5~7月。葉の脇から生じた長さ3~10センチの花序(花の集り)は房状で、花には反り返った5枚の花弁と先端が五つに裂ける萼がある。雌雄異株で雌株には雌花が、雄株には雄花が咲く。
・雄花には5本の雄しべがあり、雌花では先端が三つに裂けた柱頭(雌しべ)と5個の退化した雄しべ(仮雄しべ)がある。いずれも直径3ミリほどの小さな黄緑色の花であり、あまり目立たない。
・花の後には直径は5ミリほどの果実ができる。歪な球形で表面には短毛があり、縦筋模様が入るのが特徴。8~10月になると黄褐色に熟して果皮が剥離し、白い蝋質の中果皮が現れる。中には小型の種子が一粒入る。
【ツタウルシの育て方のポイント】
・日向であれば土質を選ばずに育つ。半日陰にも耐えるが暗い場所では地面を覆うように伸びる性質を持つ。
・紅葉の美しさが特徴で寒冷地では赤く色付くが、暖地ではくすんだ黄色にとどまる。
・芽を出す力が強く剪定にもよく耐える。ただし、肌の弱い人は手で触れない方がよい。
【ツタウルシに似た植物】
・ウルシ
・ハゼノキ
・ヤマハゼ
ツタウルシの基本データ
【分類】ウルシ科/ウルシ属
落葉つる性/広葉
【学名】Toxicodendron
orientale
ssp.orientale
【別名】ウルシヅタ
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】5~10m
【用途】壁体/庭園
【値段】─