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サルナシ/さるなし/猿梨
Saru-nashi(Kiwi berry)
【サルナシとは】
・北海道~九州の各地に分布するマタタビ科のツル性木本。低山の林内や林縁に自生し、他の木や岩に絡んで生い茂るように育つ。果実を食用とするため古くから栽培されており、日本以外でも朝鮮半島や中国に見られる。
・サルナシの開花は5~7月で、葉の脇に白い五弁花が垂れ下がるように咲く。雌雄異株で、雄株に咲く雄花は黒紫色の葯が目立ち、2~3輪ずつ咲く。雌株には雌花あるいは両性花が1~3輪ずつ咲き、イソギンチャクのようになった複数の白い花柱が目立つ。
・果実が熟すのは秋だが、熟しても果皮は緑色を残す。ナシのような風合で、猿が好んで食べるためサルナシと名付けられた。人間が食べても十分に美味で、香りが良いため果実酒として使うこともできる。
・サルナシはキウイの仲間だが、果皮に毛がないため皮を剝かずに食べることができる。果実の直径が2~3センチほどでキウイよりも小さいため、ベビーキウイ、ミニキウイなどの別名がある。果実にはキウイのように黒い種子を多数含む。
・葉は長さ5~10センチの楕円形。先端は急に尖り、縁には細くて鋭いギザギザが規則的に生じる。質厚でゴワゴワした印象。新芽には細かな毛が多く、赤みを帯びることもある。
・成長が早く、蔓は最大で直径10~15センチ、長さ30mにも達する。丈夫で腐りにくいため、かつては筏や吊り橋を組む資材に使われた。生け花の世界では赤味を帯びたサルナシの蔓を、マタタビやキウイと同様にアカヅルと呼び、独創的な花形を作るのに欠かせない花材とされる。
【サルナシの育て方のポイント】
・日当たりがよく、かつ湿気のある場所を好む。
・他の木に絡んで育つため、放任すれば他の木の生育を阻害する。マメに手入れができなければ庭に植えない方がよい。剪定にはよく耐える。
・類種のマタタビは猫の好物であり庭で育てにくいが、サルナシは猫の被害に遭うことはない。
【サルナシの品種】
・シマサルナシ
紀伊半島以南に自生する品種。葉は厚みがあり、光沢が強い。
・シナサルナシ
上記のシマサルナシと紛らわしいが、こちらは中国の長江下流域を原産とする品種。これがニュージーランドに持ち込まれて改良されたものがキウイフルーツ。別名はオニマタタビ。
・大実サルナシ
園芸用に出回っている品種で、文字どおりより大きな実ができる。
サルナシの基本データ
【分類】マタタビ科/マタタビ属
落葉つる性広葉
【別名】シラクチヅル/シチリチヅル
コクワ/コクワヅル/ハシカズラ
【学名】Actidinia arguta
【成長】早い
【移植】移植可能だが掘り起こすのは難しい
【高さ】5m~10m
【用途】花材/果樹
【値段】1200円~