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クマヤナギ/くまやなぎ/熊柳
Kuma-yanagi
【クマヤナギとは】
・北海道南部以南~九州の各地に自生するクロウメモドキ科のツル性落葉低木。山野のみならず道端や土手にも見られ、蔓を使って他の樹木に寄り掛かるようにして育つ。日本以外では中国や朝鮮半島に分布し、漢名を「熊柳藤」という。
・乾燥させた蔓は杖になるほど硬く、かつてはこの蔓でカンジキ(雪の上を歩く履物)を作り、乗馬用のいわゆる「ヤナギの鞭」はクマヤナギでできていた。名前はその強さをクマに、新芽の雰囲気をヤナギになぞらえたことによる。
・開花は夏(7~8月)で、枝先あるいは葉の付け根から伸びた円錐形の花序に、黄緑色の小花を多数咲かせる。花弁は小さいが花弁のように見える5枚の萼片があり、雄しべも5本ある。
・花の後にできる果実は直径5~7ミリの楕円形。でき始めは黄緑色だが、およそ1年をかけて赤から黒紫色に熟す。熟成までの期間が長いため、開花期の8月頃には花と果実を同時に見ることができる。
・果実には甘味があり、生食あるいはジャム、クマヤナギ酒にして利用する。サルなどの野生動物もこれを好んで食べ、クマの好物であるためクマヤナギと呼ばれるという説、種子が米粒に似るため、供米(くまい=御供え用の米)からクマヤナギとなったという説もある。
・葉は長さ4~6センチの卵形で先端は尖り、縁にギザギザはない。質はやや硬いくて表面は濃緑色。裏面は白っぽく、7~8対ある葉脈の基部にはわずかな毛がある。ツルは滑らかく手で触れるとすべすべしており、若い蔓は明るい緑色だが、樹齢を重ねると紅紫がかった黒になる。
・地方によっては若葉を茹でて食べる習慣があったようだが、あまり一般的ではない。乾燥させた茎葉を煎じたものは茶の代用となり、健康食品として流通している。
【クマヤナギの育て方のポイント】
・土壌を選ばずに育ち、多湿な場所でも育つ。
・幹はそれほど太くならないが、ツルの成長は早めであり、定期的な管理が必要。
・稀に盆栽に利用されるほど剪定に強く、芽を出す力もある。
【クマヤナギの品種】
葉の大きさ、形状、毛の有無によってオオクマヤナギ、ミヤマクマヤナギ、オオバミヤマクマヤナギ(ケオオクマヤナギ)、ホナガクマヤナギ、ヒメクマヤナギなどに分類される。
クマヤナギの基本データ
【分類】クロウメモドキ科 クマヤナギ属
落葉広葉/つる性(あるいは低木)
【別名】クマカズラ/カナヅル/クロガネカズラ
クマフジ/ガニマナク/イボタヤナギ
トウヅラ
【学名】Berchemia racemosa
【成長】やや早い
【移植】根を掘り起こすのが困難
【高さ】5m~10m
【用途】壁面緑化/食用
【値段】─