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オオイタビ/おおいたび/大崖石榴
Ohibabi(climbing ficus)
【オオイタビとは】
・房総半島以西の日本各地に分布する常緑蔓性植物。オオイタビとは大きなイタビカズラを意味し、イタビカズラよりも大きな果実ができることによる。イタビはイヌビワ、カズラはツル性植物のこと。台湾や中国にも自生が見られる。
・暖地の海岸沿いに自生し、ツルの随所から気根を生じて他の樹木や岩場を登る。暑さや乾燥に強く、丈夫な性質を持つため、石垣やコンクリート壁面の緑化に使われる。
・葉はツルから互い違いに生じ、長さ4~9センチの厚い楕円形になる。縁にギザギザはなく、葉の両端とも尖らない。表面は光沢があり、裏面は白っぽい。若葉は小型で赤みを帯びており、葉の大きさや雰囲気は時季によってだいぶ異なる。
・枝を折ったり果のうをもいだりすると乳液が滴り落ちるが、これにはフロクマリンが含まれており、皮膚の敏感な人がこれに触れるとかぶれることがある。
・オオイタビの開花は7~9月だが、花は近縁のイチジクと同じように花嚢(かのう)の中に咲くため、これを割らないと観察できないが、花弁もある。雌雄異株で雄の花嚢の中にはコバチの卵があり、これが内部で孵化すると花粉を着けて飛び立ち、雌の花嚢に入ることで受粉がなされる。
・雌株に咲く雌花の「花嚢」は「果嚢」に変わり、11~1月に熟すと紫色になって食用できるが、雄株に咲く雄花はスポンジ状で食べられない。果嚢は楕円形あるいは球形で、長さは3~5センチほど。
【オオイタビの育て方のポイント】
・暖地性であり植栽の北限は関東地方あたりとなる。霜が降りる地域での地植えは難しい。適地であっても南側に植えるなど寒さ対策が必要。
・日向を好むが耐陰性もある。基本的には丈夫な性質を持ち、放置しても育つ。
【オオイタビの品種】
・プミラ ヴァリエガタ
小型の葉に白い模様が入る品種。低温に弱く、鉢植えにしたものが観葉植物として数多く出回っている。
【オオイタビに似た木】
・イタビカズラ
オオイタビと同じような環境に生じるが、やや寒さに強い。葉はオオイタビよりも長く、先端が尖る。花嚢は直径15ミリほどにしかならない。
・ヒメイタビ
千葉県以西の各地に分布。イタビカズラに似るが葉も花嚢も小さい。イタビカズラは葉先が尖るが、ヒメイタビはやや丸みを帯びる。
オオイタビの基本データ
【分類】クワ科 イチジク属
常緑 つる性植物
【別名】オオイタビカズラ
プミラ/フィカス・プミラ
【漢字】大崖石榴/大木蓮子
【学名】Ficus pumila
【成長】やや遅い
【移植】挿し木で増やすのが一般的
【用途】壁面緑化/コンテナ栽培
【値段】700円~