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エビヅル/えびづる/蝦蔓
Japanese wild grapevine
【エビヅルとは】
・北海道を除く日本各地に分布するブドウ科の落葉つる性植物。ヤマブドウよりも標高の低い、明るい場所を好み、各地の山野、丘陵、川原、海辺の林縁に見られる。朝鮮半島や中国など東アジアに広く分布し、中国名を桑葉葡萄という。
・エビヅルという名は、水生生物の海老と関係なく、ブドウ全般の古名である「エビ」に、蔓を意味するツルを加えたもの。果実から採取される赤紫の色素を「えび色」といい、媒染をしなくても着色がよいため古くから染料として使われる。
・開花は6~8月で、葉と対になって伸びた円錐形の花序(花の集り)に咲く小花は淡い黄緑色になる。五つある花弁の基部は離れているが、先端が合着しており、開花と同時に帽子を脱ぐように落下する。
・エビヅルは雌雄異株で、雄株に咲く雄花は花粉をつけた雄しべが目立ち、雌株に咲く雌花では、小さなピンのような形をした雌しべの周囲を小さな雄しべが取り囲む。
・果実は直径5~6ミリの球形でヤマブドウよりも小さいが、夏~秋に黒く熟せば食用になる。普段、口にするブドウに比べれば酸味と雑味があるが、生食、ジュース、果実酒で楽しむことができる。
・葉は長さ4~8センチでブドウやヤマブドウよりも小さく、蔓から互い違いに生じる。大雑把にいえばハート形で、浅く3~5つに裂けるが、葉の中程まで裂けるものがあるなど、葉の形には変化が大きい。表面には細かな皺があり、裏面は赤褐色あるいは白い綿毛がある。
・エビヅルの新芽や若葉は食用になり、茹でて水にさらし、和え物や御浸しにして食べれば、便秘や解熱に効果があるという。また、エビヅルの根は、イボやホクロ取りに使われた。
【エビヅルの育て方のポイント】
・他の蔓性植物と同様に繁茂するため、フェンスや棚などで限定的に管理するのが基本。
・土質はあまり選ばないが、水はけと通気の良い砂質壌土を好む。表層が腐植質に富む土地であればより良い。
【エビヅルの品種】
・キクバエビヅル
葉が深く、細かく裂けてキクの葉のようになる品種
・シチトウエビヅル(七島蝦蔓)
伊豆諸島に分布する品種で、エビヅルよりも大きめの葉は浅く三つに裂ける。エビヅル同様に果実は食用できる。
エビヅルの基本データ
【分類】ブドウ科 ブドウ属
落葉つる性 広葉
【別名】エビカズラ/葡萄蔓
【学名】Vitis ficifolia
var. ficifolia
【成長】かなり早い
【移植】簡単だが、掘り起こすのが難儀。
【高さ】~5m
【用途】果樹/棚
【値段】1200円~