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コメツツジ/こめつつじ/米躑躅
Kome-tsutsuji
【コメツツジとは】
・北海道、本州(中部地方以北)、四国及び九州の一部地域(祖母山、市房山)に分布するツツジ科の落葉樹。初夏にできる蕾を米粒に見立てて、コメツツジと名付けられた。ドラマのタイトルにもなっている韓国の智異山(ちりさん)にも自生が見られる。
・標高の高い場所にある草原や櫟地に育つが、乱獲等によって個体数が減っているため野生状態を気軽に見るのは難しい。しかし、盆栽などの鉢植えとして栽培される例もある。
・開花は6~8月で、枝先にできる蕾から、直径4~6ミリほどの花が1~3輪ずつ開く。花はラッパ型で先端は4~5つに裂け、内面の下部には短毛がある。
・花の中心には1本の花柱(雌しべ)と4~5本の雄しべがあり、花冠の外側へ飛び出す。花色は白が基本だが、薄紅色の混じるものもある。花柄は4ミリほど。花の後にできる果実は楕円球で表面に毛を生じ、9~10月頃に熟す。
・葉は長さ5~25ミリの長楕円形で、枝から互い違いに生じるが枝先に集まっている。葉の両端は尖り、両面に短毛を生じ、中心にある葉脈が目立つ。葉には春に伸びる春葉と、夏に伸びる夏葉があるが、後者の一部が越冬するため、半常緑性(半落葉性)とされることもある。
・コメツツジの自生は高所で風が強いため、地を這うように枝を伸ばすこともあるが、平地で栽培すれば樹高1~2mほどにこんもりと育つ。
【コメツツジの育て方のポイント】
・日向を好み、乾燥には強いが、本来は寒冷な地に育つため、夏の強い日差しが当たる場所は避ける。
・半日陰程度であれば花は咲く。
・枝葉が密生して病害虫が発生しやすいため、定期的に枝抜き剪定をして通風を確保した方がよい。剪定の適期は花が終わった頃。
【コメツツジに似た花木】
・ハコネコメツツジ
富士山周辺に固有の種で、岩に貼り付くように育つ。花の筒部はコメツツジよりも長いが雄しべは短く、花冠の外に突き出さない。
東北~北陸地方に見られる近縁種で、別名をシロバナコメツツジという。名前のとおり花はコメツツジよりもわずかに大きく、花柄も長い。また、コメツツジは雄しべが5本あるが、オオコメツツジは4本しかない。
開花期以外でも、コメツツジの葉脈は1本だけが目立つが、オオコメツツジでは葉脈が3本見えるため見分けることができる。
コメツツジの基本データ
【分類】ツツジ科/ツツジ属
落葉広葉/低木
【漢字】米躑躅(こめつつじ)
【別名】─
【学名】Rhododendron tschonoskii
【英名】─
【成長】やや遅い
【移植】普通
【高さ】0.3~2m
【用途】鉢植え
【値段】2000円~