クサギ/くさぎ/臭木

Harlequin glorybower

クサギの花,写真,くさぎ
名前に反して、繊細な花が咲く
臭木,枝,くさぎ
クサギの冬芽は特徴に乏しい
クサギ,臭い木,くさぎ
新芽の様子
くさぎ,葉っぱ
若芽は食用する
クサギの葉っぱ,写真,くさぎ
葉をちぎるとカメムシのようなニオイがする
クサギ,樹木
葉の裏面の様子
クサギの葉っぱ
葉は長さ20センチほどの大きさになる
クサギの蕾,ツボミ
蕾の様子
くさぎ,植物
開花が近付くにつれて色付く
臭木の花,くさぎ
雄しべの先端にある葯は黒紫色で丁字形となる
クサギの木の花
雄しべが熟した後に雌しべが熟す 
Harlequin glorybower
カマキリとクサギの花
葉っぱが臭い木
花の終わり~結実期の様子
kusagi
クサギが最も目立つのは実がなる時期
クサギの実,くさぎ
果実の基部には星形の萼がある
クサギの実
果実は小鳥に人気がなく、長い間、枝に残る
臭木,苗木
実生(赤ん坊)のクサギの様子
臭い木,何
樹皮は灰褐色で丸い「皮目」がよく目立つ

 

【クサギとは】

・日本全国の低山や林縁、沿海地、川岸に分布するクマツヅラ科の落葉樹。庭木として使う例は稀だが、果実は染料、若芽は食用、根は薬用となり、かつて実用された名残が民家近くの道端や荒れ地などで普通に見られる。

 

 

・枝葉をちぎると独特の臭いがあるため、日本では「臭木」とされるが、中国ではアオギリに似た臭い葉という意味の「臭梧桐(しゅうごとう)」を用いる。台湾、中国本土及び朝鮮半島など東アジアの山野に広く見られ、欧米では観賞用に栽培される。 

 

 

・クサギの葉は直径5~20センチの三角形に近いハート形あるいは幅の広い円形。枝から対になって生じるが、日光をより多く取り入れるため、柄の長さは左右で異なる。葉の先端は鋭く尖り、基部は円形。裏面と葉柄には軟毛を生じる。大きな葉がキリに似るとしてクサギリ、ヤマギリといった別名もある。

 

 

・葉の臭みは熱を通せば消失するため、若芽や若葉は和え物、煮つけ、天婦羅などにして食用され、クサギの佃煮は特に珍味とされる。花も茹でて酢の物にして食用できる。

 

 

・クサギの開花は他に花の少ない盛夏(7~9月)で、枝先や上部にある葉の脇に複数が円錐状に集まって垂れ下がる。花は直径2~3センチの筒状。先端は深く五つに裂け、満開時には全開する。開花期間は比較的長い。

 

 

・雌雄同株で雌しべ1本と雄しべ4本があるが、自家受粉を避けるため、雄しべが突き出して熟した後に、雌しべが熟す。花にはヤマユリのような気高い芳香があり、アゲハチョウの仲間、ガ、カマキリなどの昆虫がよく集まる。

 

 

・花の後にできる果実は直径6~7ミリの球形。10~11月、光沢のある藍色に熟す頃には、果実を覆っていた卵形の萼が紅紫色の星形となって開き、そのコントラストが人目を惹く。「クサギの実」や「クサギの花」は秋の季語。メジロなど一部の鳥以外には人気がないようで果実は長い間、枝に残る。

 

 

・果実は草木染めに使われ、藁の灰汁で煮出した液で衣類を染めると浅青色(青緑色)になるが、果実が白く、萼が緑色になるシロミクサギもある。 

 

 

・クサギの樹皮は灰色で丸い皮目が多く、樹齢を重ねると縦に浅い裂け目が入る。若い枝には褐色あるいは白色の軟毛があり、枝は横に大きく広がりやすい。材木としての用途はほぼないが、稀に下駄や薪炭に使われる。

 

 

・漢方ではクサギを「海州常山(かいしゅうじょうざん)」と呼び、乾燥させた枝葉や根を煎じて飲めば、リュウマチ、神経痛、高血圧、頭痛に効果があるとされる。

 

 

【クサギの育て方のポイント】

・日向を好むが日陰にも耐える。

 

 

・土質を選ばずに育つ。丈夫な性質を持ち、アスファルトの隙間から顔を出していることもある。

 

 

・成長が早く、放任すれば樹高5m程度にまで達する。剪定に強いため、狭いスペースでは好きなように剪定して構わない。

 

 

【クサギの品種】

・八重咲きクサギ

 文字どおり花が八重咲きになる品種。

 

 

・イボタクサギ

 種子島以南の各地に分布する蔓性の品種。葉は楕円形で長さ3~7センチほど。花数はクサギよりも少ない。

 

 

・ビロードクサギ

 枝葉に軟毛の多い品種。  

 

 

・アマクサギ

 九州南部、台湾、中国を原産とする品種。葉は厚くて光沢があり、全体に無毛。枝葉をちぎってもほとんど悪臭がない。クサギとアマクサギの中間種があるため実際の見分けは難しい。

 

 

ボタンクサギ(ヒマラヤクサギ)

 背が高くならず、鮮やかな紫色の花を咲かせる。園芸用としてクサギよりも数多く出回る。

 

 

・ヒギリ

 インドを原産とするクサギの近縁種。美しい赤花が咲き、沖縄などでは庭木として使われる。

 

 

・ゲンペイクサギ(源平臭木) 

 西アフリカを原産とするツル性の常緑植物。紅白に咲き分ける花は日本人好みであり、観賞用として鉢植え品が広まっている。別名はゲンペイカズラ。

 

クサギ,種類
近縁のボタンクサギ(ヒマラヤクサギ)
クサギの仲間
ゲンペイクサギ(ゲンペイカズラ)

 

【クサギに似た木】 

コクサギ 

 クサギと同様、低山帯の至る所に見られ、葉を揉めば悪臭を放つが、ミカン科の低木であり、クサギとの直接的な関係はない。

 

 

ゴンズイ

 こちらも葉に独特の香りがあり、クサギに似た形の黒い実ができる。

 

 

・ハマクサギ(ニオイカエデ)

 近畿地方以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するシソ科の落葉小高木。「海岸に自生する葉が臭い木」という意味合いで名付けられた。クサギとは異なって葉は無毛。初夏にクリーム色の花を咲かせ、黒い実がなる。乾燥させた茎や葉は生薬「腐婢(ふひ)」の原料。別名はトウクサギ、キバナハマクサギなど。

 

はまくさぎの木
ハマクサギの新葉

クサギの基本データ

 

【分類】クマツヅラ科 クサギ属

    落葉広葉 低木/小高木

【漢字】臭木(くさぎ)

    臭梧桐(しゅうごどう)

【別名】クサギナ/クジュウナ

    クサギリ/ヤマギリ

    イヌノクリ/クソクサギ

    ベニバナクサギ

【学名】Clerodendrum trichotomum

【英名】Harlequin glorybower

【成長】早い

【移植】簡単

【高さ】3~8m

【用途】雑木

【値段】800円~

 

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