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ガマズミ/がまずみ/莢蒾
Japanese bush cranberry
【ガマズミとは】
・北海道南西部、本州、四国及び九州に分布する落葉低木。山野や丘陵のみならず、平地の雑木林や郊外の道端で普通に見られる。庭に植えるような木ではなかったが、嗜好や住環境の変化に伴い、庭木や公園樹として植栽される例が増えている。漢字表記の「莢蒾(きょうめい)」は漢語で、中国や朝鮮半島にも自生する。
・ガマズミという名の由来には諸説あるが、「ガマ」は材を農具の柄(鎌柄)に使ったこと、あるいは葉の形がカメの甲羅に似ること、「ズミ」は果実が酸っぱいこと(酸実)、あるいは果実を衣類の染料(すり染め)に使ったことによるとされる。
・全国に広く分布する植物であり、イヨゾメ、カメガラ、シモフリ、シモフリグミ、スズミ、ソゾミ、ヨシヅミ、ヨツズミ、ヨンゾメなど地方名が多い。
・ガマズミの開花は初夏(5月~6月)で、枝先にできる直径5~10センチの花序に小花が多数集まる。小花の花先は五つに分かれ、1本の雌しべと5本の雄しべがある。花には独特の香りがあり、人によっては「臭い」と感じることもある。
・花の後にはできる果実は直径6ミリほどの楕円形で、秋(9~11月)に赤く熟す。できたての果実は酸味が強過ぎるが、晩秋になれば甘味が増すため生で食べることができ、その頃になるとメジロ、ツグミ、ヒヨドリなどの野鳥も集まる。食べ頃は表面に白い粉が吹いた頃だが、多少の渋味はある。色合いが良いため大根などの漬物を赤く染める着色料や果実酒としても使われる。
・ガマズミの葉は長さ6~15センチ、幅3~14センチで、枝から対になって生じる。先端は不規則に尖り、オオデマリと同じようにはっきりとした葉脈がある。画像で見ると光沢があるように見えるが両面に毛が生え、触れるとザラザラする。植え場所が良ければ美しく紅葉するケースもある。
【ガマズミの育て方のポイント】
・丈夫な性質を持ち、管理しやすい。土質を選ばずに育ち、肥料もほとんどいらない。庭木としてもっと普及してもよい木の一つであるが、入手はやや難しい。
・半日陰程度までは耐えるが、花や実を十分に楽しむには日向に植える。
・萌芽力はあるが自然樹形を楽しむ木であり、全体を刈り込むような手入れは不向き。垣根などには向かない。剪定は冬季に乱れた枝を根元から取り除く程度にとどめる。
【ガマズミの品種】
・斑入りガマズミ
葉に白い模様が入る品種で、模様の入り方の微妙な違いによって様残に命名される。
【ガマズミの品種】
ガマズミの仲間は多いが、特に知られるコバノガマズミ、ミヤマガマズミとガマズミの葉を比べてみると以下のとおりで、コバノガマズミはガマズミよりも葉が小さく多少細長いことや、ミヤマガマズミはより細長いことが分かる。
ガマズミの仲間は他に、オニコバノガマズミ、チョウジガマズミ、オオチョウジガマズミ、シマガマズミ、ニオイガマズミ、キミノガマズミ、ミヤマシグレ、カンボク、オトコヨウゾメ、ゴマギ、ヤブデマリ、オオカメノキ、ハクサンボク、サンゴジュ、などがある。
カマズミの基本データ
【分類】レンプクソウ科/ガマズミ属
落葉広葉/低木
【漢字】莢蒾(がまずみ)
【別名】ヨツズミ/ヨシヅミ/ヨソゾメ
シモフリ/シモフリグミ
アラゲガマズミ/シブレ
【学名】Viburnum dilatatum
【英名】Japanese bush cranberry
【成長】普通~やや早い
【移植】簡単
【高さ】2~5m
【用途】雑木の庭/公園
【値段】1000円~