庭木図鑑 植木ペディア > ヒイラギナンテン
ヒイラギナンテン/ひいらぎなんてん/柊南天
Mahonia
【ヒイラギナンテンとは】
・メギ科の常緑低木。和風庭園でお馴染みであり学名にもジャポニカを含むが、別名「トウナンテン」が示すように原産地は中国(台湾やヒマラヤ周辺含む)。日本に渡来したのは1681~1687年(天和・貞享年間)のことで、漢名は「十大功労」という。
・遠目で見れば葉の雰囲気はナンテンに似ており、葉の縁にヒイラギのようなトゲがあることから、ヒイラギナンテンと命名された。ナンテンもヒイラギも縁起の良い木として知られ、両方を併せ持つ本種はさらに縁起がいいとして普及する。
・ヒイラギナンテンの葉は長さ4~9センチの小葉が5~9対ほど集まり、長さ30~40センチの羽根状になる。枝先で傘状に開く姿はそれだけで見栄えがするものの、葉の縁はトゲ状であり、触れると痛い。
・ヒイラギナンテンの開花は3~4月。枝先から長さ10~15センチの花序を房状に伸ばし、小さな黄色い花を密生させる。6弁の花には芳香があり、光沢のある葉とのコントラストが美しいため生け花にも使われ、出荷用に露地栽培されることも多い。
・初夏にでき始める果実は直径7~8ミリの球形で水分を含む。秋になるとブルーベリーのように黒紫色に熟し、表面に白い粉を吹く。
・果実は長い間枝にあり、紅葉とのコントラストは美しい。果実に含まれる種子は数少ないが繁殖力が高く、ヒイラギナンテンを外来種として危険視する流れもある。
・ヒイラギナンテンの材には薬用成分「ベルベリン」等が含まれ、これを煎じて飲めば扁桃炎や口内炎に効くとする民間療法がある。幹の断面が黄色いのはこのためで、噛めば苦味がある。また、幹は古くなるとコルクのような樹皮で覆われる。
【ヒイラギナンテンの育て方のポイント】
・日陰に強い。日向でも育つが日差しが強すぎると葉の緑色が薄くなるため、むしろ直射日光は避けた方が葉色が美しい。
・刈り込むような手入れは不適切で、キレイに見せるにはある程度、葉の数を減らして空間を作る必要がある。
・株立ち状に複数の幹を生じるのが普通であり、単独で植えても、つくばいや庭石に添えるとそれなりの雰囲気を出すことができる。
・日向に植えて、なおかつ冬の寒さにあたると写真のように紅葉する。
・丈夫な性質を持ち、土質を選ばずに育つ。病害虫にも強い。
【ヒイラギナンテンに似ている木】
・9月頃に花を咲かせるのがホソバヒイラギナンテンで、葉は名前のとおりヒイラギナンテンより細い。この他、葉や樹形が大振りなシナヒイラギナンテンや、ヒイラギナンテンによく似た品種で、冬に花を咲かせるマホニア・チャリティー、マホニアコンフューサ、春に花を咲かせよりスマートな葉を持つホソバテンジクメギなどがある。
ヒイラギナンテンの基本データ
【分類】メギ科/ヒイラギナンテン属
常緑広葉/低木
【漢字】柊南天(ひいらぎなんてん)
【別名】トウナンテン/十大功労
【学名】Mahonia japonica
【英名】Mahonia
【成長】ふつう
【移植】簡単
【高さ】1m~3m
【用途】和風庭園/寄せ植え/生け花
【値段】400円~