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ベニシタン/べにしたん/紅紫檀
Rockspray cotoneaster
【ベニシタンとは】
・中国西部を原産とするバラ科の常緑樹。50種以上あるコトネアスターの代表的な木であり、樹高が低いわりに色鮮やかな実がなることや繁殖が容易なことから、庭木、盆栽、鉢物として広く普及する。
・日本に渡来したのは明治初期のことで、赤い実が木を覆うようにできる様を、インド原産で紅色の染料となるシタン(紫檀)の木になぞらえ、ベニシタン(紅紫檀)と名付けられた。
・ベニシタンの葉は長さ5~15ミリの小さな卵形。ツゲとよく似た雰囲気を持ち、枝から互い違いに整然と密生する。革質で表面は光沢のある濃緑色。裏面と葉柄には毛を生じる。
・常緑樹だが、寒冷地では秋に紅葉の後、落葉する。このため半常緑性あるいは落葉性とすることもある。
・ベニシタンの開花は5~6月で、その年に伸びた葉の脇に咲く。直径4~6ミリほどの両性花で、淡い紅色あるいは白い5枚の花弁がある。ただし、花弁は全開せずに直立するのみで、未熟な果実と見分けがつきにくい。萼筒から生じる軟毛が目立つ。
・果実は直径5ミリほどの楕円球で、秋(9~10月)になると濃い紅色に熟す。弓なりに伸びる枝に多数の赤い実がぶら下がる様子は人目を惹きやすく、野鳥もこれを食べるが人間にとっては不味くて食用にならない。
・若くて小さな苗でも開花結実しやすく、果実を蒔けば増やすことができる。
・学名にあるhorizontalisは水平を意味し、枝は多数に分岐しながら横に広がるが、老木では枝垂れるようになる。樹高は最大1mほどで、かつてはグランドカバー的な使い方も多かった。
【ベニシタンの育て方のポイント】
・耐寒性があり北海道~九州の各地に植栽できる。大気汚染や病害虫にも強い。
・土質は選ばず丈夫に育つが、乾燥した日向を好み、日陰や湿地では花が咲かず実もならないことが多い。
・放任するほど見事な株になるが、実がなるのは2年目の枝であり、それより古い枝は適宜、間引くように剪定する。剪定の適期は2~3月。
・根は粗くて細根がほとんどないため、ジンチョウゲ並みに移植が難しい。挿し木や取り木で容易に増やすことができるため、移植するなら新たな株を作った方が楽。
・樹液が甘く、ハチなどの虫が集まるので、虫嫌いの方は留意した方がよい。
【ベニシタンの品種】
・シダレシャリントウ
文字どおり枝が垂れる品種。支柱を添えて主幹を直立させ、枝を垂らすように育てる。
【ベニシタンに似ている植物】
・フランセシャリントウ
・ヤナギバシャリントウ
ベニシタンの基本データ
【分類】バラ科/シャリントウ属
常緑(半常緑)広葉/小低木
【漢字】紅紫檀(べにしたん)
【別名】チャボシャリントウ
コトネアスター
【学名】Cotoneaster horizontalis
【英名】Rockspray cotoneaster
【成長】やや早い
【移植】困難
【高さ】0.5~1m
【用途】庭木/鉢植え/盆栽/花材
【値段】500円~