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ヒカゲツツジ/ひかげつつじ/日陰躑躅
Hikage tsutsuji tree
【ヒカゲツツジとは】
・関東以西の本州、四国及び九州に分布する日本固有のツツジ。低山の山間にある岩場や水辺に自生し、数あるツツジ類の中でも唯一黄色い花を咲かせる。
・花が控え目であることや、黄色系統のツツジが珍しいことから、和風庭園に重用され、鉢植えとして栽培されることもある。山間の水辺を再現したような庭で石組みの近くに植えたり、日照条件の悪い大木の足元に植えたりと使い勝手が良いとされるが、長期にわたって栽培するのは難しい。
・ヒカゲツツジの開花は4~5月。花は直径3~5センチほどで淡い黄色を帯び、独特の雰囲気を持つ。日陰では蛍光色のようにも見え、自生地では水辺の景を照らすことから「サワテラシ」との別名を持つ。花冠は五つに裂け、雄しべは10本あり、花糸には柔らかな毛が密生する。
・花の後には円柱形の果実ができ、10月頃に熟す。長さ1センチほどで内部は五つに分かれ、熟すと自然に裂けて多数の種子を拡散する。
・葉は先の尖った楕円形で長さは5~6センチ程度。皮質で枝から互い違いに生じるが、多くは枝先に集まる。一般的なツツジよりもやや肉厚で、小型のシャクナゲに似ており、乾燥すると縁が裏側に巻きやすい。枝、葉、花など株全体に腺状の鱗片があるのも本種の特徴。
・幹は複数生じて株立状になりやすい。枝は細くて分岐が多い。
【ヒカゲツツジの育て方のポイント】
・基本的には丈夫な性質を持つが、湿気の多い場所を好み、乾燥することの多い都市部では生育が難しい。
・ヒカゲツツジとはいえ、日向でも育つ。完全な日陰では育たない。
・剪定は他のツツジ類同様、花の直後に行うが、成長が遅いため、頻繁に手を入れる必要はない。株立ち状に育つのが基本。
【ヒカゲツツジの品種】
・ヤクシマヒカゲツツジ
屋久島に分布する小型の品種で、枝葉の一部は匍匐するように伸長する。
・ウラジロヒカゲツツジ
関東地方で稀に見られる変種。葉の裏面に線状の鱗片が密生して灰色になり、花色がやや薄い。
八重咲きヒカゲツツジ『スバル』R130 |
ヒカゲツツジの基本データ
【分類】ツツジ科 ツツジ属
常緑広葉 低木
【漢字】日陰躑躅(ひかげつつじ)
【別名】サワテラシ(沢照らし)
ヒメシャクナゲ
【学名】Rhododendron
keiskei Miq
【英名】Hikage tsutsuji tree
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】1m~2m
【用途】和風庭園/公園
【値段】1000円~