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ハッサク/はっさく/八朔
Hassaku orange
【ハッサクとは】
・ミカン科の常緑樹で、江戸時代の末期(1860年頃)に広島県因島市にある浄土寺の境内で発見された。ミカンとしては皮が剥きづらいため商業生産は減っているものの、上品な甘さとプリプリした独特な食感のファンは多く、家庭用の果樹としても流通している。
・ハッサクという名前は浄土寺の住職が、旧暦の8月朔日(=1日)に食べごろになること勘違いしたことによる。旧暦の8月1日は新暦の8月30日だが、実際は10月~1月に収穫したものを保存し、2~4月に食べる。
・浄土寺での発見後、広島や和歌山などの暖地を中心として栽培が始まり、一時はウンシュウミカンやナツミカンに次ぐ生産額を誇ることもあった。現在は和歌山が圧倒的な生産量を誇るが、広島や愛媛でも栽培される。
・ハッサクの葉は革質で分厚く、枝から互い違いに生じる。長さ4~8センチ、幅2~4センチほどの広い楕円形で縁には浅いギザギザがあり、葉の基部に翼のある「翼葉」となる。しばしばナツミカンと混同されるがナツミカンは翼のない楕円形で、容易に見分けることができる。
・ハッサクの開花は5月頃で、他の柑橘類と同様の白い花を咲かせ芳香を放つ。花には5枚の花弁があり中央には、筒状に合体した多数の雄しべが目立つ。
・ミカンとしては果実が大きく、その重量は1個当たり300~400gにもなる。果皮は明るいオレンジ色だが表面はブツブツしており、上部がややへこんでいる。
・果肉はグレープフルーツを甘くしたような風味だが、果汁が少ないため肉質は粗く、種子も多い。収穫直後は酸度が高過ぎるため、一定期間保存し、酸味を調整した後に出荷される。
【ハッサクの育て方のポイント】
・耐寒性が低いため、植栽の適地は関東地方以西の温暖な地となる。日当たりのよい南向きで、北風の当たらない場所が最適。よく耕された柔らかな土壌を好み、堅い土では成長が悪い。植穴に腐葉土や堆肥をすき込むか、柑橘類用に調合されている市販の土を使用するのもよい。
・樹勢が強く、枝が直立して上へ上へと伸びる傾向がある。柑橘類の中では大木になるため、それなりのスペースが必要。
・1本でも実はなるが、実が小さくなりがち。ハッサク同士では受粉しにくい性質を持つため、確実な結実にはナツミカンやアマナツなど受粉用の柑橘類を近くに植え、人工的に受粉させるとよい。
【ハッサクの品種】
・農間紅ハッサク、和紅ハッサク
果皮の色が濃く、多少、赤みを帯びる。美味であり、食用として広く流通している。
ハッサクの基本データ
【分類】ミカン科/ミカン属
常緑広葉/小高木
【漢字】八朔(はっさく)
【別名】ハッサクカン
【学名】Citrus hassaku
【英名】Hassaku orange
【成長】やや早い
【移植】成木では困難
【高さ】3~5m
【用途】果樹/庭園
【値段】1,200円~