庭木図鑑 植木ペディア > ハクサンボク
ハクサンボク/はくさんぼく/白山木
Hakusannboku-tree
【ハクサンボクとは】
・本州の一部地域(伊豆半島、神奈川、愛知、山口)、伊豆諸島、小笠原諸島、高知、九州及び沖縄に分布するレンプクソウ科の常緑樹。石川県の白山が原産地だと誤認されて、ハクサンボクと名付けられた。主に西日本の海岸沿いや林地に自生し、関西地方では庭木としても使われる。伊勢神宮のものが有名。
・葉は菱形に近い卵形で直径は5~15センチほどだが、中には20センチを超すものも。枝から対になって生じ、先端は尖り、基部はクサビ形。表面はアオキやヤツデのような光沢があり、遠目にも美しいため、「山照らし」の別名がある。裏面には細かな点々が見られる。
・ハクサンボクは冬でも葉を落とさない常緑樹だが、寒冷地では冬季に葉が黄変する。本種やガマズミが属するレンプクソウ属は落葉樹が多く、本種、ゴモジュ、サンゴジュの3種のみが常緑樹である。
・ハクサンボクの開花は3~5月。直径5~15センチの椀型をした花序に、白い小花を密集させる。小花の直径は5~8ミリだが、先端は五つに裂け、雄しべはその裂片から突き出る。花は乾燥すると異臭を放つ。果実は長さは8ミリ程度で、10~12月頃に赤く熟す。
・若い枝は緑色だが、少しずつ紫色を帯びて独特の色合いになる。弾力があって扱いやすいため、生け花の材料や木釘として使われる。断面には乾燥した花同様に独特の異臭がある。
【ハクサンボクの育て方のポイント】
・日当たりがよく、かつ湿気のあるところを好む。半日陰程度なら十分に耐える。土質は余程の荒地でなければ選ばない。
・かつては寒さに弱く、関東以北で育てるのが難しいとされていたが、温暖化に伴って植栽できる地域は北上している。筆者は埼玉県、茨城県、千葉県で屋外に育つものを確認している。
・樹形は整えづらいが、剪定は可能。一度に刈り込まず、弱めの手入れを定期的に行うのがよい。風通しを悪くするとカイガラムシやアブラムシが発生しやすくなる。
・花が咲くのはその年に伸びた枝の先。春先に剪定すると花付きが悪くなる。
【ハクサンボクの品種】
・コハクサンボク
伊豆半島及び伊豆諸島に自生する小型のハクサンボク。本種と同一とする見解もある。
・斑入りハクサンボク
葉に模様が入る品種で、明るい雰囲気を持つため、洋風の庭園に使いやすい。
【ハクサンボクに似ている木】
・ガマズミ
ガマズミは落葉樹でハクサンボクは常緑樹。
ハクサンボクとコバノガマズミの雑種。
・ゴモジュ
沖縄に分布。ハクサンボクより葉が小さく、枝葉の密度が高い。
・このほか性質の似た木にはカンボクやヤブデマリが、名前の似た木にはハクウンボクがある。
ハクサンボクの基本データ
【分類】レンプクソウ科/ガマズミ属
常緑広葉/低木~小高木
【漢字】白山木(はくさんぼく)
【別名】イヌデマリ/ヤマテラシ
イセビ
【学名】Vibrnum japonicm
【英名】Hakusannboku-tree
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】2~6m
【用途】花木/防風・防火/生け花
【値段】2000円~