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カッコソウ/かっこそう
Kakko-sou
【カッコソウとは】
・群馬県桐生市及び、みどり市周辺の山地に分布するサクラソウの仲間。初夏に咲く花はサクラソウやクリンソウに似るが、花柄や葉柄に白い長毛があり、葉の形はそれらとは明らかに異なる。
・かつては後述のシコクカッコソウと同一のものと考えられていたが、近年の研究によって上記地域の落葉樹林内にのみ生育してきたことが明らかになっている。現在では環境の変化や盗掘などのため個体数が減っており、種の保存法によって売買や譲渡が禁じられ、自治体等による保護活動が展開されている。
・カッコソウの開花は4~5月。地際から伸びた長さ10~15センチほど花茎の先端に、直径2~3センチの花が5~10輪ほど、輪状になって1~3段ずつ咲く。花先は五つに平開し それぞれの裂片はさらに二つに分かれる。花色は淡い紅紫が基本だが稀に白色もある。
・花の中央には五つの雄しべと雌しべがあり、その周辺部は濃い紅褐色になる。サクラソウなどと同じようにシベの長さや位置は株によって微妙に異なり、雌しべが長いものと短いものがある。
・花の裏側にある花筒は長さ1.5~2センチ。萼も長さ1センチほどの筒状で、半分くらいまで五つに裂ける。花の後には萼に包まれた楕円の果実ができる。カッコソウはこの種子の拡散と、地下茎を伸ばして新たな株を作るという二通りの方法で繁殖する。
・葉は株元から生える根生葉で長めの葉柄があり、直径3~7センチほどになる。幅の広い円形で掌状に浅く裂け、縁には大小のギザギザが、表面には著しいシワがある。サクラソウに比べると葉の寿命は長く、霜が降りる頃までは地上部が残る。
・カッコ草という名前の由来には諸説あるが確たるものはない。漢字表記も同様であり、花の色合いにちなんだ「勝紅草」という表記もあるが一定しない。
【カッコソウの品種】
シコクカッコソウ
高知県を除いた四国各地で稀に見られる多年草。全体の雰囲気はほとんど同じだが、葉柄や花柄の毛が著しく多いため見分けられる。カッコソウに比べると花の喉部が黄色いとされるが、花色だけで見分けるのは難しい。
【サクラソウやクリンソウとの違い】
いずれも花弁は5枚(正しくは花冠が五つに裂ける)で、それぞれの先端が二裂するのも一緒。確実に見分けるには葉の特徴を覚えるのがよい。
カッコソウの基本データ
【分 類】サクラソウ科/サクラソウ属
多年草
【漢 字】─(勝紅草)
【別 名】キソコザクラ
キソザクラ
【学 名】Primula kisoana
【英 名】─
【開花期】4~5月
【花の色】紅紫
【草 丈】~20cm