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スイカズラ/すいかずら/吸葛
Japanese Honeysuckle
【スイカズラとは】
・北海道の北部を除いた日本全土に分布するスイカズラ科の蔓性植物。山野や道端で普通に見られ、他の樹木に絡まりながら育つが、海岸で地面を這うように広がるケースもある。
・日本のほか中国や朝鮮半島にも自生し、常緑の蔓性植物が少ない中国では「忍冬」という。19世紀の初頭には欧米へ伝播し、現地で品種改良されたものが野生化している。
・スイカズラという名前は、花の形を人が蜜を吸うときの唇の形に見立てたもの(諸説あり)。別名のニンドウは漢名に由来。冬に耐えるの意で、暖地では冬でも一部の葉が落ちない(半常緑)ことに因む。
・5月~7月にかけて咲く花は長さ3~4㎝ほどで、枝先の葉の脇に二輪ずつ並んで咲く。キンギンボクやハナヒョウタンボクなどと同じように、咲き始めは白色で、散り際には淡いオレンジ色に変わる。このため別名を金銀花という。
・花は唇形で、上唇部分は四つに浅く裂け、下唇は幅広の線形になる。長く飛び出すのは5本の雄しべと1本の雌しべ(花柱)。蜜は甘く、吸うと甘い蜜が出る葛(葛は単に「つる性植物」の意)という意味合いで、スイカズラと命名されたという説もある。菓子の少ない時代、子供たちはこの甘い蜜を好んで吸った。
・スイカズラの花は芳香が強く、遠くからでもその存在を感じ取ることができる。花の香りは昼よりも夜間の方が強く、虫がよく集まる。乾燥させた花は「金銀花」、乾燥させた蔓や葉は「忍冬」として民間療法に使われる。
・秋の終わりには画像のような真ん丸の果実ができる。花と同様2個ずつ並び、9~12月に熟すと青黒色となり、表面はピカピカしている。
・葉は長楕円形で縁にギザギザはないが、環境や個体によって変異が大きい。両面とも細かな毛があるが特に裏面には多い。秋になると黄葉し、その後は葉を丸めて越冬する。
【スイカズラの育て方のポイント】
・日当たりの良い場所であれは放任しても育つ。
・半日陰でも育つが、完全な日陰では花つきが悪いばかりか、カイガラムシ等の被害に遭いやすい。
・湿気と栄養分のある場所を好むが、条件の悪い場所でも育つ。
・若木のうちは開花しにくく、直径3センチを越えるころからよく咲くようになり、秋季の狂い咲きも多い。一方、株が繁茂し過ぎても花付きが悪くなる。一般家庭では邪魔になりがちであるため、アーチやトレリス仕立てにして育てる。
【スイカズラの品種】
葉を貫くように茎が生じる品種。花はオレンジ色に近い。
・ベニバナスイカズラ
葉に艶があり、花弁の外側の紅色が目立つ。
・テリハニンドウ
葉に艶があり、毛が少ない。
・ヒメスイカズラ
沖縄の海岸沿いなどに見られるスイカズラの変種。文字どおり花や葉が小さい品種だが、護岸工事などによって個体数が減っており、絶滅が危惧される。
スイカズラの基本データ
【分類】スイカズラ科/スイカズラ属
半常緑つる性植物
【漢字】吸葛(すいかずら)
【別名】ニンドウ(忍冬)
キンギンバナ
キンギンカ(金銀花)
【学名】Lonicera japonica
【成長】かなり早い
【移植】簡単だが掘り起こすのが困難
【高さ】5~17m
【用途】公園/棚
【値段】380円~