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イヌカラマツ/いぬからまつ/犬唐松
Golden larch
【イヌカラマツとは】
・中国東部及び南部(長江下流域の山岳地帯)を原産とするマツ科の落葉樹。日本のカラマツに似るが葉はより大きくて黄葉が美しく、中国では寺院を中心に、日本では稀に公園や植物園に植栽される。
・中国でも限られた地域に育つ希少種だが、太古の時代には日本にも自生していたことが化石から明らかになっている。また、1852年には植物収集家のロバートフォーチュンによって西洋に移入され、各地で栽培されている。
・葉は柔らかな針状で、枝から束になって生じる輪生。長さは3~7センチ、幅2~3ミリでカラマツよりも幅広で長い。葉は青々としており、裏面は緑色の気孔線が二本ある。秋の黄葉はオレンジがかった金色で、中国では「お金が貯まる縁起の良い木」とされる。若い枝は淡いクリーム色~ピンク色。
・イヌカラマツの開花は春。雌雄同株で若い枝の先端に黄色い雄花と雌花が一緒に咲く。雌花の後できる球果(まつぼっくり)は長さ6センチほどでカラマツよりも大きい。
・球果は厚い三角形の鱗片に覆われ、秋に熟すと明るい褐色なる。カラマツの果実は丸ごと落下するが、イヌカラマツはモミのように枝上でバラバラになるのも両者の大きな違い。種子には羽根があり、鱗片と共に落下する。
・樹形は幅の広い円錐状で、原産地では樹高45m、幅15mにも達する。水平に伸びる枝の先端はやや上向きになるが、下部の枝は垂れ下がりがちになる。幹の直径は最大80センチほど。樹皮は灰褐色~赤褐色で若木のうちは滑らかだが、樹齢を重ねると正方形を刻むように深く裂ける。
・樹皮や根皮に含まれるイヌカラマツエキスは抗炎症作用や抗菌作用を持ち、中国では生薬「土槿皮」として水虫、湿疹、疥癬の治療に用いる。日本では本種をマツカワ(松皮)と称して成分に含む薬用入浴剤(延寿湯温泉)が販売されている。
【イヌカラマツの育て方のポイント】
・基本的には丈夫な性質を持ち、病害虫に強い。
・日向を好む陽樹であり、日陰地では生育不良となる。また、水はけの良い場所を好み、湿地では根腐れを起こしやすい。
・自生は標高1000m以上の場所であり耐寒性はあるが、夏の暑さや強い日差し、乾燥にはやや弱い。
・成長は遅いが横幅は確実に大きくなるため、自然樹形を観賞するには相当なスペースが必要になる。
【イヌカラマツに似た木】
・カラマツ
イヌカラマツの基本データ
【分類】マツ科/イヌカラマツ属
落葉針葉/高木
【漢字】犬唐松
落葉松(いぬからまつ)
【別名】金松(キンショウ)
金銭松キンセンマツ)
黄金松(オウゴンマツ)
【学名】Pseudolarix
kaempferi Gord.
【英名】Golden larch
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】20~45m
【用途】公園/街路樹/盆栽
【値段】3,000円~