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ポポー/ぽぽー
Pawpaw
【ポポーとは】
・南国のフルーツを思わせる果実がなるものの、原産地は北アメリカ東部。日本に渡来したのは明治27~28年で、小石川植物園に植えられたのが始まり。一般に普及したのは最近のことであり、かつては「幻の果実」といわれていた。現在は中国地方を中心に庭木として植栽され、果樹としての商業栽培も行われている。
・ポポーという不思議な名前はスペイン語に由来する。大航海時代にアメリカ大陸で本種を見付けたヨーロッパ人がパパイヤと誤認し、スペイン語でパパイヤを意味する「ポポー」を本種の名前とした。
・開花は4~5月で葉の展開前か同時。前年に伸びた枝葉の脇に、一輪ずつ連なる。花は直径3~5センチの釣鐘型で、卵形をした花弁が大小3枚ずつ、互い違いに生じる。
・咲き始めの花弁は黄緑色だが、満開時は暗い紫色となり、やや異様な雰囲気を放つ。花の中央には黄色い多数の雄しべがあり、基部には紅紫色の斑点模様が入る。裏面にある萼は3枚。
・9月~10月にかけてできるポポーの実は別名の「アケビガキ」が示すようにアケビに似ておいしく、マンゴーやバナナ、甘いクリームのような風味を持つ。長さ5~15センチ、重さ150~300グラムほどで外皮は薄くて滑らか。
・でき始めの実は緑色だが、熟した果実は緑がかった暗い褐色で表面は蝋質になる。味はアケビに似るが、熟しても自然に裂けることはなく、外見はムベに似る。果肉はオレンジ色で、カキと同じような黒い種子が7~15粒ずつ混じる。
・ポポーは収穫するとすぐに皮が黒ずむなど日持ちしないため、生のまま市場に流通することは少ない。このためシャーベット状に凍らせたものや、牛乳等を混ぜて加工したジェラートが商品化されている。
・ポポーの実は味もさることながら、ビタミンやカリウム、鉄分が豊富に含まれるためダイエット食品として注目され、定期的にマスコミに取り上げられる。かつては1個のポポーに卵7個分の栄養があるとして苗木が販売されていた。
・葉は長さ10~30センチ、幅6~10ミリの細長い楕円形で両面とも無毛。先端は尖り、縁にギザギザはない。秋には黄葉し短期間であるが人目を惹く。大きさだけを見れば葉はホオノキやトチノキに似る。
・樹皮は灰褐色で滑らか。原産地では幹の直径が最大60センチ、樹高15mほどになるが、日本では直径10センチ、樹高4~5mほどにとどまる。
【ポポーの育て方のポイント】
・自生地は河川の低湿地であり、湿気のある肥沃な土地を好む。ポポーの仲間は熱帯性だが、ポポーには耐寒性があり、東北地方の中部以南であれば地植えできる。
・植え付け後、しばらくは成長が遅く、収穫もあまり見込めないが、3年ほど経過すれば、成長が著しくなる。単独では結実しにくいとされるが、筆者の身の回りでは単独で実がなっている。
・葉が大きめで、樹形も北アメリカ産らしい奔放さがあるため狭い庭では管理しにくく、景観的にも他の庭木と馴染みにくい。移植に耐える力がないため、植える場所は事前に熟考した方がよい。
・放任気味に育てても実がなるため、他の果樹より手間がかからないが、肥料を多めに与えて強めの剪定をすると収量は増える。完熟前に収穫しても1週間ほど追熟させれば香りが増し、食用できる。
・日本では5m以下に収まることが多いが、ある程度成長したら、他の果樹と同じように主幹を途中で止めて(切断して)、横へ枝を出させるようにし、収穫しやすいよう維持したい。
・風通しの悪い場所ではカイガラムシやハマキムシの被害にあることもある。
【ポポーに似た木】
・バンレイシやチェリモヤなどの近縁種があるが、バンレイシ科の植物は熱帯性であり、耐寒性のあるものは本種のみ。
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ポポーの基本データ
【分類】バンレイシ科/アシミナ属
落葉広葉/小高木~高木
【漢字】─(ぽぽー)
【別名】ポーポー/ポーポーノキ
アケビガキ
【学名】Asimina triloba
【英名】Pawpaw
【成長】早い
【移植】ほぼ不可能
【高さ】5~10m
【用途】シンボルツリー/果樹
【値段】1500円~