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ベニバナトチノキ/べにばなとちのき/紅花栃木
Red horse chestnut
【ベニバナトチノキとは】
・ヨーロッパ産のセイヨウトチノキ(マロニエ)と北アメリカ産のアカバナアメリカトチノキを交配して作出された園芸品種。トチノキに似た葉にピンク色の花を咲かせるが、どちらもトチノキに比べると小ぶりになる。
・日本に渡来したのは大正時代末期。公園や植物園などで稀に植栽されるのみで街路や公園には少ないが、銀座のマロニエ通りなどに見られる。パリのシャンゼリゼ通りでは、マロニエと共に植栽されて通りを彩る。
・葉は掌状に裂けているようにも見えるが、5~7枚の小葉の集りで、枝から対になって生じる。表面はシワシワになり、縁にはトチノキよりも複雑なギザギザがある。冬芽はトチノキに似るが多少丸みを帯び、粘り気がない。枝はトチノキ同様に太く張り出す。
・ベニバナトチノキの開花は5~6月。枝先に長さ10~20センチの大きなソフトクリーム状の花序を出し、淡い紅色または朱色の混じったピンクの花を咲かせる。「ベニバナ」とはいうもののピンク色であることが多く、母種のアカバナアメリカトチノキのような真っ赤にはならない。ちなみにもう一方の親であるマロニエは、白色の花にわずかな赤みが入る。
・花は直径2センチほどで、先端が細く尖る雌しべ(花柱)1本と、先端に黄褐色の葯がある雄しべ7本がある。また、アカバナアメリカトチノキの花弁は筒状だが、本種は画像のように開く。
・花の後にできる果実は直径3~5センチの球形で表面にはマロニエ同様にトゲがある。果実が熟すのは9月頃。トチノキの「ト」は十を意味し、たくさんの実が成ることを表すが、本種は日本のトチノキのように成熟することがほとんどなく、トチノキを台木とした接ぎ木による繁殖が主流である。
【ベニバナトチノキの育て方のポイント】
・日なたであれば土質を選ばず、北海道から沖縄まで植栽できるが、肥沃な土地ならより良い。日陰や痩せた土地では花付きが悪い。
・樹高15mを超える大木となるため、相応のスペースが必要。樹形は半球状になり、剪定はあまり好まない。また、その年に伸びた枝に花が咲くため、春先の剪定は禁物。
・強風に遭うと葉が傷むため、あまり風の当たらない場所に植えるのが良い。
・病害虫は少ないが、稀にクスサン(シラガタロウ)の被害に遭う。
【ベニバナトチノキの品種】
・背が高くならず、植えた二年目に上品な花を咲かせるプリオッティ、赤い花が咲くパピア、白くて大きな花が咲くパブリフォリアなどの品種がある。
【トチノキとベニバナトチノキの違い】
・花の色のほか以下の点が大きく異なり、花のない時季にも見分けることができる。
葉~ベニバナトチノキは表面がシワシワで縁には折り重なるようなギザギザがある。
冬芽~トチノキはベトベトするが、ベニバナトチノキはほとんど粘り気がない。
【マロニエとベニバナトチノキの違い】
・マロニエの花は淡いクリーム色でベニバナトチノキよりも大きい。
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ベニバナトチノキの基本データ
【分類】ムクロジ科/トチノキ属
落葉広葉/高木
【漢字】紅花杤の木(べにばなとちのき)
【別名】ベニバナトチ
【学名】Aesculus x carnea
【英名】Red horse chestnut
【成長】やや遅い
【移植】困難
【高さ】10~20m
【用途】公園/街路樹/庭園
【値段】1500円~