ブナ/ぶな/橅

Japanese beech

ブナの葉っぱ,画像,実,木
ブナの葉は四季を通じて劇的に変化していく
橅,ぶな,山毛欅,ふゆめ,ブナの木
冬芽の様子
ブナ,Japanese beech
芽出しの時期は最も美しく・・・
橅,葉,新芽,ぶな
時間ごとに変化が楽しめる
ぶな 葉 画像
新葉は細かな毛で覆われ、銀色に輝く
Japanese beech,leaf
夏の様子 寒い地方ほど葉が大きくなる
ぶな,Japanese beech
両面とも葉脈が目立つ(裏面)
Japanese beech
ブナの新緑
ブナの木の画像
樹高は最大で30mほどになる
ブナの黄葉,ぶな,紅葉
秋には綺麗に「黄葉」あるいは「紅葉」する
ぶなの木,黄葉
紅葉期の様子
ぶなのき,画像
紅葉期の様子
ブナの実,食用
ブナの実はソバの実に似るため「そば栗」と呼ばれる
ブナ,ぶな,枯葉,いつまでも
葉は役目を終えても、翌春まで枝に残る
山毛欅,椈,樹木
初冬の様子
ブナ 樹皮
地衣類が付着して模様が入ることもあるが、豪雪地帯の樹皮は、もっと白くて美しい 
ぶなのき,樹木
幹の断面
幹が白い木,ぶなの木
「根張り」の様子

 

【ブナとは】

・北海道の渡島半島から九州までの広い範囲に分布するブナ科の落葉広葉樹。特に日本海側の北国に多く、青森県から秋田県にまたがる白神山地のブナ純林は1993年、世界自然遺産に登録された。

 

・ブナは冷温帯を代表する樹種であり、ミズナラと共に明るい広葉樹林を作る。ブナは日本以外にも北半球の温帯に約10種類が分布するが、日本に自生するのは本種とイヌブナの二種のみで、イヌブナは太平洋側に多い。

 

・一般に太平洋側よりも日本海側のブナの方が生育がよく、葉が大きくなる。このため日本海側のブナを特に「オオバブナ」と呼んで、太平洋側の「コハブナ」と区別することもある。

 

・ブナの幹はまっすぐに伸び、直径は最大で1mを超える。雄大な樹形と白くて滑らかな樹皮から「山の王様」と称され盆栽に使われることはあるが、土地の狭い日本ではブナを庭木として使う例は少ない。ヨーロッパのブナ(=ヨーロッパブナ)は品種が多く、庭園に使われる。

 

・漢字表記の「橅」は、材木として使い物にならない、つまり木では無いということにある。ブナ材は稀にパルプ、床柱、家具(椅子など)、玩具、杓子などに使うが、水分が多くて腐りやすいことや乾燥によって材が乱れやすいこと、変色しやすいことから扱いが難しく、火持ちが悪いため炭としての価値も低い。

 

・「山寺」として知られる立石寺(山形県)の根本中堂はブナ材で作られた数少ない建築物の一つであり、国の重要文化財に指定される。

「橅」のほかに「山毛欅」「椈」という表記もあるが、「山毛欅」は文字どおり山に生える毛のあるケヤキという意味。

 

・ブナの葉は枝から互い違いに生じる互生。長さ4~10センチ、幅2~4センチの卵形で先端が尖り、縁には波状のギザギザがある。平行に走る葉脈が目立ち、雪解けと共に展開する若葉の頃や黄葉の頃は美しい。黄葉した葉は、カシワなどと同様、落下せずに翌春まで枝に残る。

 

・ブナの花が咲くのは新葉が展開する5月頃。自生地であれば一斉に咲くが、開花は数年に一度である上、樹齢20年近くにならないと開花しないため観察するのは難しい。雌雄同株で、雄花は新枝の下にある葉の脇から垂れ下がり、雌花は新枝の上部にある葉の脇にできる。秋にできる果実はリスやクマなど山の動物たちの大好物。ヨーロッパでは豚のためにブナを植えた養豚林があるほど。

 

・ブナの果実は10月頃に熟すと殻斗(皮)が四つに裂け、三角錐の堅果が二つ現れる。別名の「ソバグリ」「ソバノキ」「タチソバ」は果実がソバの実に似ていることによる。栄養豊富で炒めると甘味があって食用となり、灯油や食用油に使うこともできる。

 

・にわかには信じがたいが、ブナという名前は、ブナ林を渡る風が「ブーン」となることによるという説、木材として使えないので「ぶん投げる木」に由来するという説がある。

  

【ブナの育て方のポイント】

・夏に猛暑となるような地域では育てられない。植栽の適地は関東北部以北となるが温暖な低地では害虫の被害に遭いやすく、寿命は短め。

 

・若木はいわゆる「陰樹」であり、日照が多すぎるところよりも半日陰程度の場所を好んでのんびりと育つ。成木になると日向を好むようになる。

 

・「ブナの山には水筒いらず」と言われたほど、湿気のある土質を好む。庭に植える際にはあらかじめ植え穴に腐葉土などを漉き込むとよい。

 

・成長は遅いが月日をかけて大木となる。鉢植えがベターだが、地面に植える場合は、適宜枝抜きをして樹高を抑える必要がある。ただし、自然樹形を鑑賞する木であるため、剪定には多少センスがいる。

 

【ブナに似ている木】

イヌブナ

 ブナと共に盆栽で使われる樹木だが、葉がより薄く、葉脈の幅が狭い。また、葉の裏面に白い毛があるため容易に見分けられる。別名をクロブナという。紛らわしいが近年しばしば見かけるようになった黒紫色の葉のブナは、ヨーロッパに自生するブナの園芸品種(プルプレア)であり、これまた別物。

 

・チョウセンブナ(朝鮮橅)

 朝鮮半島に分布するブナの仲間。葉がより小さいこと、幹が灰白色になることがブナとの違い。 

 

・ナンキョクブナ

 アフリカを除く南大陸に分布するナンキョクブナ科の樹木。ブナによく似るが葉は小さい。

 

・ヨーロッパブナ(セイヨウブナ)

 ヨーロッパの北から南まで広い範囲に分布する品種で、デンマークでは国の木に指定している。新緑と紅葉が美しく、各地の街路に植栽される。春から秋まで葉が紫になるムラサキブナ(プルプレア)など変種が多い。

ブナの木の種類
イヌブナは葉の裏面が白い
ちょうせんぶな,樹木
朝鮮半島に分布するチョウセンブナ
西洋ぶな,樹木
欧州の広範囲で街路樹に使われるヨーロッパブナ
葉が黒いブナの木
黒ブナとして売られることもあるプルプレア
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ブナの基本データ

 

【分類】ブナ科/ブナ属

    落葉広葉/高木 

【漢字】橅/椈/山毛欅(ぶな)

【別名】シロブナ/ブナノキ

    ホンブナ/ソバグリ

    ソバノキ/タチソバ

【学名】Fagus crenata

【英名】Japanese beech

【成長】遅い

【移植】やや難しい

【高さ】10m~30m

【用途】公園/雑木の庭/盆栽

【値段】500円~

 

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