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ヒトツバタゴ/ひとつばたご/一つ葉田子
Chinese fringetree
【ヒトツバタゴとは】
・愛知県犬山市、対馬列島、岐阜と長野の県境などに自生するモクセイ科の落葉広葉樹。絶滅が危惧されるほど天然の個体数は少ないが、公園、庭園、植物園などには多数植栽されている。
・日本以外では朝鮮半島や台湾にも分布が見られ、当地では「亭子(日本でいう東屋)」に添える「亭子木」として使われる。
・ナンジャモンジャと呼ばれる木の代表種であるが、ナンジャモンジャとは、名前が分からない大木全般の総称であり、特定の樹種を示すものではない。有名なナンジャモンジャとしてのヒトツバタゴには明治神宮外苑のものがあり、樹齢百数十年とされた初代は大正時代に天然記念物の指定を受けた(現在では平成26年に植えられた三代目が後を継いでいる。)
・タゴノキ(=トネリコ)に似るが、複数の葉が集まるタゴノキと異なり、葉が一枚ずつ生じることから、水谷豊文氏(木草学者)によってヒトツバタゴと名付けられた。葉は長さ4~10センチの楕円形で枝から対になって生じる。
・開花は5~6月でヤマボウシやニセアカシアなどと同じ頃。その年に伸びた枝の先に、シマトネリコに似た白い小花が多数集まって円錐状になる。花先は四つに裂け、各裂片は長さ1.5~2センチほどの線形になるが弱々しく、簡単に風で飛び散る。このため観賞期間は短く、開花期の木の下は雪が降ったように真っ白になる。
・雌雄異株で、雌の木には花後、楕円形の果実ができ、秋になると黒紫色に熟す。直径1センチほどで表面に粉を吹き、ネズミモチやイボタノキに似る。なお、ヒトツバタゴをギンモクセイとヒイラギの交雑種とする説もあり、果実は多少これらに似る。
【ヒトツバタゴの育て方のポイント】
・自生地から分かるように、比較的温暖な地を好み、植栽の適地は関東地方以南となる。
・土質は選ばずに育つ。
・樹形は自然に整いやすく、剪定を好まない。強度に剪定されたものは貧弱な樹形になる。
・花は、その年にできた枝に咲くため、春先に刈り込むと開花は望めない。
【ヒトツバタゴの品種】
・アメリカヒトツバタゴ
アメリカ東南部を原産とする品種で、葉は日本のものより大きいが樹高はより低く、10m程度にとどまる。若木のうちから開花するため園芸用としてはより親しみやすい。
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ヒトツバタゴの基本データ
【分類】モクセイ科
ヒトツバタゴ属
落葉広葉 高木
【漢字】一つ葉田子(ひとつばたご)
【別名】ナンジャモンジャ
ウミテラシ(海照らし)
【学名】Chionanthus retusus
Lindl. et Paxton
【英名】Chinese fringetree
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】4m~30m
【用途】公園/庭園
【値段】1500円程度~