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ヒガンザクラ/ひがんざくら/彼岸桜
【ヒガンザクラとは】
・本州中部以西に分布するバラ科の小高木。カンザクラに次いで早期に咲くサクラであり、春の彼岸の頃(3月20日前後)に開花するためヒガンザクラと命名された。
・エドヒガンとマメザクラの雑種(交配種)と考えられているが自生地や来歴等は分かっていない。ヒガンザクラが群生するのは長野県伊那市にある高遠城址公園で「さくら名所100選」にも選ばれている。明治期から人為的に栽培されたものだが、近年の研究結果から当該地のヒガンザクラは高遠に固有のものとされている。
・寒い時季に濃い緋色の花を咲かせるカンヒザクラ(寒緋桜)や、母種であるエドヒガンもヒガンザクラと呼ばれることがある。混乱を避けるため本種をコヒガン、コヒガンザクラと呼ぶことも多い。
・ヒガンザクラの開花は、葉が出る前の3月下旬~4月上旬。花はソメイヨシノよりも小ぶりで直径は2~3センチほど。淡いピンクあるいは紅白の花が2~3輪単位で枝からぶら下がる。
・花弁は5枚で、ほぼ横向きに開くのが基本だが、ヒガンザクラは個体による変異があって多様になる。花の後には小さいながらもサクランボができやすく、初夏には黒紫色に熟す。
・葉は長さ5~10センチの卵形で両端が尖る。縁には二重になったギザギザがあり、若い枝葉や花柄には細かな毛が生じる。枝が柔らかで扱いやすいこと、花の小ささや枝の細さに繊細さがあることから、春一番を演出する生け花の基本種とされ、出荷用に促成栽培される。
・幹は直立して枝分かれが多く、樹皮は樹齢を重ねると縦に剥離する。枝は細めだが、斜め上に伸びてよく繁茂する。
【ヒガンザクラの育て方のポイント】
・サクラとしては背が低いため一般家庭の庭植に向く、しかし寿命が長く、長期的には根が広く浅く張るため、根元付近になるべく人が立ち入らないよう、相応のスペースは確保した方がよい。
・日当たりのよい場所を好み、日陰や半日陰では花付きが悪いばかりか、生育そのものも不良になる。
・乾燥を嫌うため、植穴には腐葉土や堆肥をすき込み、湿度を保てる土壌に改良した方がよい。特に新興住宅地に見られる粘土質の土壌では生育が難しい。
・風通しの悪い場所では他のサクラ類と同様に病害虫の被害が多発する。若木のうちは伸び過ぎた枝をまめに取り除き、枝葉が繁茂しすぎないよう樹形を整えた方がよい。
【ヒガンザクラの品種】
八重咲きの改良種で、年に2回(秋と春)咲くサクラとして話題になりやすい。
・センダイシダレ(仙台枝垂れ)、キョウトシダレ(京都枝垂れ)
ヒガンザクラのうち、特に枝が長く垂れ下がる品種。
ヒガンザクラの基本データ
【分類】バラ科 サクラ属
落葉広葉 小高木
【学名】Prunus × subhirtella
【英名】Higan-zakura
(Rosebud cherry)
【漢字】彼岸桜(ひがんざくら)
【別名】コヒガン/コヒガンザクラ
コザクラ/アケボノヒガン
【成長】早い
【移植】成木は困難
【高さ】4~6m
【用途】庭木/花材
【値段】3,000円~