庭木図鑑 植木ペディア > バイカウツギ
バイカウツギ/ばいかうつぎ/梅花空木
Japanese mock orange
【バイカウツギとは】
・本州、四国及び九州に分布するウツギの近縁種で山野の林内に自生する。茎が中空で、ウメに似た雰囲気の花が咲くためバイカウツギと名付けられた。原産地は日本の南部で別名をサツマウツギ(薩摩空木)という。
・自生のものは花がまばらで、かつては余り見向きされなかったが、剪定や肥料によって花数を増やすことができるため、庭木として使われるようになった。地味な花には日本的なワビサビがあり、切り花を茶花として使うが、中国にも自生し、中国名を山梅花という。
・開花はアジサイと同じ5~6月頃で、枝先から伸びた花序に直径3センチ弱の白い花が5~10輪単位でフワッと咲く。花弁は4枚で雄しべは20本ほど。花柱(雌しべ)の先が4つに分かれるのが大きな特徴で、花には微香がある。
・花の後には乾いた果実ができ、9~10月頃になると灰緑色に熟す。観賞するような色形ではないが、これを蒔けば比較的容易に増やすことができる。また、切り枝を挿し木することで繁殖することも可能。
・葉は枝から対になって生じ、長さは5~10センチ、幅は2~3センチほど。卵形で先端は尖り、基部は円形。クスノキと同じように3本の葉脈が目立つ。葉の両面に毛を生じ、縁には細かなギザギザがまばらにある。
・若い枝は赤みを帯び、縮れた細毛がある。2年目以降の枝は褐色になり毛はなくなる。幹や枝は分岐が多く、木全体としては鬱蒼としやすい。樹齢を重ねると樹皮は灰褐色になり、縦に剥離する。
・バイカウツギは100年以上前にヨーロッパへ渡り、当地で品種改良されたものは庭木として人気を誇る。また、園芸用として流通するセイヨウバイカウツギは南ヨーロッパや西南アジアを原産とするモックオレンジやアメリカ原産のバイカウツギを総称したもので、バイカウツギよりも大きく、香りの強い花が咲く。
【バイカウツギの育て方のポイント】
・土質を選ばずに育つが、肥料分の乏しい場所では花付きが悪い。
・日向に植えるのが望ましいが半日陰地でも開花する。
・丈夫な性質を持ち、剪定は好きなようにできる。ただし、春の芽出しから開花前に剪定するのはNG。
・南方の生まれだが耐寒性があり、北海道でも南部であれば植栽できる。
【バイカウツギの品種】
・ニッコウバイカウツギ
葉の裏に毛が密生する品種。このためケバイカウツギともいう。
・シコクウツギ
花柱(雌しべ)に毛のある品種。
・ベルエトワール
交雑品種で花弁の下部がピンク色になり、香りが高い。
このほかセイヨウバイカウツギ等との交雑種が多数作られ、中には花弁に日の丸模様が入るヒノマルウツギなどがある。
|
バイカウツギの基本データ
【分類】アジサイ科/バイカウツギ属
落葉広葉/低木
【漢字】梅花空木(ばいかうつぎ)
【別名】サツマウツギ/フスマウツギ
リキュウバイ
【学名】Philadelphus satsumi
【英名】Japanese mock orange
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】1m~3m
【用途】公園/垣根/切花
【値段】1,500円~