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ハンカチノキ/はんかちのき
Dove tree
【ハンカチノキとは】
・中国の固有種で、湖北、四川、貴州、云南の各省に自生するミズキ科の落葉樹。その名のとおり、枝にハンカチがぶら下がったかのような花を咲かせる。ハンカチに見えるのは花弁ではなく、「苞」と呼ばれるもの。
・メタセコイアと同様、一時期は絶滅したと考えられていたが、19世紀後半、ジャイアントパンダの発見者としても知られる神父ダヴィディア(アルマン・ダヴィッド)によって中国で発見された。別名のダヴィディアはこれにちなむ。
・本種がヨーロッパに入ったのは1901年で、イギリスの植物収集家であったアーネストウィルソンによる。このためヨーロッパでは古くから公園や庭園及び街路に植栽されて親しまれてきた。ハンカチノキが日本で本格的に普及したのは、苗木や種子の輸入が始まった平成3年以降のこと。近年はシンボルツリーとして使われることが増えてきた。
・ハンカチノキの花が咲くのは4月下旬~6月上旬で、開花期間は20日ほど。花は苞に包まれた直径1センチ以下の塊状で花弁はなく、雄しべ(葯)だけからなる雄花と、雌しべが発達した両性花(雌花)がある。
・白い苞は2枚一組で生じる。長さは20センチ以下で、大小が一組になる。でき始めの苞は淡い緑色で開花と共に白く、大きくなり、受粉が終わると色褪せて落下する。
・雄花の花序は花粉を散らした後、苞とともに落下するが、両性花の後には果実ができ、秋はキウイフルーツほどの大きさになる。未熟な果実は緑色で、熟すと紫がかった褐色となり、外皮はクルミのように硬い。果柄は4センチほどあり、果実は一つずつぶら下がる。
・葉は幅の広い卵形で直径は10~15センチほど。先端は細長く尖り、基部はハート形になる。縁には鋭いギザギザがあり、表面は艶やかな濃緑色だが、裏面は淡い緑色で細かな毛を生じる。高温や乾燥に弱く、そうした条件下では水分を保持するため葉が丸まる。
・若いハンカチノキの樹皮は滑らかだが、樹齢を重ねるとオレンジがかった褐色の割れ目ができ、不規則に裂ける。
【ハンカチノキの育て方のポイント】
・多くの日照を必要とする陽樹であるが、湿気のある日向~半日陰を好む。
・自生地は標高2、000メートルほどの山地であり、寒さに強く、土質も選ばない。耐暑性は普通程度。
・ある程度の成木(10年以上)にならないと「ハンカチ」ができない(園芸品種「ソノマ」は一歳でもハンカチをつける。)。
・自然樹形が美しく、手をかけずに育てられる。ただし広いスペースが必要で、剪定すると樹形が乱れやすい。
【ハンカチノキの品種、似ている木】
・上記のソノマ以外には、葉にライトグリーンの模様が入る「斑入りハンカチノキ」という品種に人気がある。
・夏になると「コンロンカ」という南国生まれの植物が「ハンカチの花」あるいは「ハンカチの木」として鉢に入って店先に出回るが、これはアカネ科で、本種とはまったくの別物。
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ハンカチノキの基本データ
【分類】ミズキ科/ハンカチノキ属
(あるいはハンンカチノキ科)
落葉広葉/高木
【漢字】─(はんかちのき)
【別名】鳩の木/ダヴィディア
幽霊の木/ゴーストツリー
オオギリ
【学名】Davidia
involucrata Baill.
【英名】Dove tree/Ghost tree
Pocket handkerchief tree
【成長】ふうつ
【移植】ふつう
【高さ】5m~15m
【用途】シンボルツリー/花木/公園
【値段】1000円~