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ハナズオウ/はなずおう/花蘇芳
Chinese redbud/Chinese Judas tree
【ハナズオウとは】
・中国北中部を原産とするマメ科の落葉樹。日本へ渡来したのは1695年(江戸時代)以前で、春に咲く紅紫の花を観賞するため、庭木として公園や庭園に植栽される。花の色が、同じマメ科の熱帯植物スオウで作る染料「蘇芳」に似ていることから、ハナズオウと名付けられた。
・ハナズオウの開花は葉が展開する前の4~5月頃。花は蝶形で浅く五つに裂け、上側中央にある「旗弁」は立ち上がるが、両側で後方へ反り返る2枚の翼弁より小さく、見付けにくい。
・下側にある2枚の「舟弁」は、上側の花弁よりも長くて大きい。花全体の長さは1~2センチほど。萼は釣鐘型で花柄が短いため、枝に直接付くように見える。
・葉は長さ5~8センチの円形あるいはハート型で、花が終わりきらないうちに展開し始める。葉の縁にギザギザはなく、枝から互い違いに生じ、質厚で表面には光沢があるが、裏面は半透明の白い葉脈5本が放射状に広がる。
・花の後にはキヌサヤのような豆果ができる。長さ5~8センチで、でき始めは緑色だが徐々に赤みを帯びた後、10月頃、黒褐色に熟す。中には光沢のある濃褐色の種子が5~8粒入る。豆果は熟しても自然には裂けない。繁殖は実生または挿し木による。
・主幹は直立するがそれに沿って複数の細い幹が出て株立状になる。原産地では樹高15mに達するというが、日本では最大でも4~5mほど。幹も直径10センチほどにとどまる。樹皮は白っぽい灰色で、紅紫の染料、漢方では薬用とする。
【ハナズオウの育て方のポイント】
・耐寒性や耐暑性があり、北海道南部以南であれば地植えできる。花を楽しむためには日向がよく、日陰では花数が少なく、葉の色も冴えない。
・性質は非常に丈夫で、痩せ地や乾燥地でも育つなど、土質を選ばない。また、病害虫にも強い。
・枝が上へ上へと伸び、箒を逆さにしたような樹形になるが、枝数は少なく、強い剪定を好まない。花は前年に伸びた枝により多く咲くため、冬季に大胆な剪定をすると花が咲かなくなる。
・樹形が独特であり、他の植木と景色が馴染みにくい。芝生の中などに単独で植えるのがベター。根が粗いため移植や株分けは難しく、植える場所は熟考した方がよい。
【ハナズオウの品種】
いわゆる「カラーリーフ」で、紫や斑入りの葉が庭に彩を添える。成長が遅く手間がかからないものの、うまく育てば高さ5~7m程度になる。フォレストパンシーやシルバークラウドという品種の人気が高い。花は淡い紅色でハナズオウよりも小さく、疎らに咲く。
・セイヨウハナズオウ
地中海沿岸を原産地とする近縁種。通称を「ユダの木」といい、キリストを裏切ったユダがこの木で首を吊ったと伝えられる。
・シロバナハナズオウ
名前のとおり、白い花を咲かせる。小さなうちからよく花を咲かせるが、紅紫のものに比べて、やや小ぶりな花となる。
・シダレハナズオウ(ラベンダーツイストなど)
名前のとおり、枝が垂れる性質を持つ。洋風の建物にマッチする。
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ハナズオウの基本データ
【分類】マメ科
ジャケツイバラ亜科
ハナズオウ属
落葉広葉/低木
【漢字】花蘇芳(はなずおう)
【別名】ハナスオウ/スオウ
ハナムラサキ/スオウギ
紫荊樹(シケイジュ)
スオウバナ
【学名】Cercis chinensis
【英名】Chinese redbud
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】2~7m
【用途】花木/公園/切花
【値段】1000円~