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ハシバミ/はしばみ/榛
Asian Hazel
【ハシバミとは】
・北海道~九州に分布するカバノキ科の落葉低木で、オオハシバミの変種とされる。日当たりのよい山地や丘陵に自生するが、ヘーゼルナッツ(セイヨウハシバミ)の近縁種であり、果実が食用になるため庭木としても植栽される。日本以外では中国や朝鮮半島に見られる。
・ハシバミという名前は、葉に皺がある実を意味する「葉皴み実」、果実が針状であることを意味する「針柴実」、鳥が嘴で食む(はむ)ことに由来する「嘴喰」などが転訛したものとされる。
・葉は長さ6~12センチの広い卵形あるいは円形で、枝から互い違いに生じる。葉の先端は急に尖り、縁に不揃いのギザギザがあるため左右非対称になりやすい。同じような葉を持つニレ科のオヒョウにちなんで、オヒョウハシバミという別名がある。
・葉は質が薄くて葉脈が目立ち、表面は緑色。裏面は短毛があって緑白色だが、若葉には時折、紫の斑点模様ができる。ハシバミは枝分かれが多く、内部が見えないほど枝葉が繁茂する。
・ハシバミの開花は葉の展開に先立つ2~4月。雌雄同株で一つの株に雌雄それぞれの花を咲かせる。雄花は黄褐色の尾状で長さは3~7センチ。小枝の上部にある葉の付け根から1~数本が垂れ下がって咲く。
・雌花は、雄花の脇あるいは雄花の下にある葉の脇で上向きに咲くが、大部分は芽鱗に包まれて見えず、赤い柱頭(雌しべの先端)だけが顔を出す。
・雌花の後にできる果実は直径1.5センチほどの球形だが、総苞(萼)と呼ばれる2枚の葉っぱに包まれており、小さなキャベツのように見える。学名はその様子がヘルメットに似ていることにちなむ。
・ハシバミの実が褐色に熟すのは10月頃だが、クルミやドングリのように堅く、熟しても自然に裂けることはない。生のままでも食用となり、オニグルミやチョウセンゴヨウの実と同様、縄文人はこれを食糧とした可能性が高い。また、果実から採取できる油は燃料となり、平安時代には灯明に用いるため栽培されたという。
【ハシバミの育て方のポイント】
・日向であれば土質を選ばず丈夫に育つ。病害虫の被害もほとんどない。
・株立ち状に育つのが基本で、枝葉は繁茂しやすい。刈り込むこともできるが、実や花を十分に楽しむには最低限度の剪定にとどめた方が良い。
【ハシバミの品種】
・ツノハシバミ(ナガハシバミ)
果実にツノ状のものがあり、観賞用として庭や公園に植えられている。ハシバミよりも植栽数は多い。
ハシバミの基本データ
【分類】カバノキ科/ハシバミ属
落葉広葉/低木
【漢字】榛(はしばみ)
【別名】オオハシバミ
オヒョウハシバミ
【学名】Corylus heterophylla
var. heterophylla
【英名】Asian Hazel
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】1~5m
【用途】庭園/果樹
【値段】1000円~