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ボダイジュ/ぼだいじゅ/菩提樹
Linden tree
【ボダイジュとは】
・中国を原産とするアオイ科の落葉樹。その来歴には、12世紀半ばに臨済宗の開祖である栄西が、中国の天台山にあったボダイジュの種子を持ち帰ったことを起源とする説と、筑紫の国(福岡県)に渡来したものが全国に広がったとする説がある。
・釈迦が悟りを開いたとされるのは、クワ科のインドボダイジュあるいはベンガルボダイジュの木の下。しかし熱帯性であるこれらは中国で育たなかったため、葉が似た本種を代用し、それが日本に伝播した。「ボダイ」はサンスクリット語のbodhiに由来し、悟りを開いたことを意味し、インドボダイジュの学名もbodhi-drumaという。
・寺院の境内に多く植栽されたことから、一般家庭(在家)でボダイジュを使うのはごく稀。北国では街路や公園に使われ、野生化したものもある。
・葉は長さ5~10センチほどで三角形に近いハート型。縁には細かなギザギザがある。左右の形が微妙に異なる非対称になるのが特徴。葉は枝から互い違いに生じ、裏面や付け根には細かな毛が密生している。
・ボダイジュの開花は5~6月。新葉の脇から長さ5~6センチのヘラ形の苞(総苞葉)を出し、そこから伸びた長さ8~10センチの花柄に淡い黄緑色の花を咲かせる。花にはシナノキ同様の芳香があり、ミツバチの蜜源になるが、たいてい高い場所に開花するため観賞しづらい。
・花の後には直径7~8ミリの果実(「菩提子」という)ができ、10月ごろになると黄褐色に熟す。果実は硬質の球形で、念珠を作るのに使われることも本種が菩提樹と呼ばれる所以の一つ。
・樹皮は紫がかった灰色で、樹齢を重ねると縦に浅く裂ける。
【ボダイジュの育て方のポイント】
・シナノキと同様に土質を選ばず丈夫に育つが、基本的には湿気のある肥沃な土地を好む。
・樹形を小さく維持すると不自然な樹形になることから、狭いスペースでの植栽はお勧めできない。
・暑さにやや弱く、植栽の適地は関東以北の本州や北海道となる。
【ボダイジュに似ている木】
・いわゆる菩提樹と呼ばれるものには、①本種と②インドゴムノキ、③ネンジュボダイジュの三種があり、これらは性質も形態も異なる。仏教的にはインドボダイジュが本家本元。ネンジュボダイジュはホルトノキの仲間で、実が高級な念珠の材料になることから関連付けられた。これらのほか、日本原産のオオバボダイジュ、ナツボダイジュ、フユボダイジュ、オランダボダイジュ、セイヨウボダイジュ、インドボダイジュ、ベンガルボダイジュ、ヨウシュボダイジュなどがありややこしい。
・ボダイジュと同じように果実を数珠に使う木としては、モクゲンジ(センダンバノボダイジュ)やオオモクゲンジ(フクロミモクゲンジがある。
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ボダイジュの基本データ
【分類】アオイ科/シナノキ属
落葉広葉/高木
【漢字】菩提樹(ぼだいじゅ)
【別名】アオジナ/カンザシノキ
【学名】Tilia miqueliana
【英名】Linden
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】8~20m
【用途】公園/街路樹
【値段】2000円~