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センダン/せんだん/栴檀
Chinaberry
【センダンとは】
・暖地の海岸沿いや山地に自生するセンダン科の落葉樹。自生地については諸説あるが、伊豆半島あるいは四国以西と考えられている。トネリコに似た涼しげな枝葉が良好な緑陰を作ることから、校庭や街路に使われ、植栽されたものは関東付近でも普通に見られる。日本以外では中国大陸や台湾に分布。
・センダンの開花は初夏。5月5日に必ず咲くという言い伝えもあるが、実際は地域によって5~6月。花はその年に伸びた枝葉の基部にまとまって咲くが、たいていは高い場所に咲くため観察しにくく、「雲見草」という別名もある。
・花は直径2~3センチで5枚ある花弁は長さ8~10ミリほど。中央にある短い雌しべの先端(柱頭)は丸く、10本の雄しべは合着して紫色の筒状になる。一つひとつの花は小さいがまとまって咲くため、花期には木全体が薄紫色に見える。
・センダンの古名はオウチ(アウチ)。その語源には、同じ頃に咲くフジに似た淡い花が咲く「淡藤(アワフジ)」が転訛したとする説、フジに似た花が仰ぐように咲く「仰藤(アオグフジ)」が転訛したとする説、かつて公家が来ていた藤色の夏服、「楝(おうち)」に由来するとする説などがある。
・9~12月ごろに熟すクリーム色の大きな果実は、枝先で鈴なりになり、遠目からもよく目立つ。その姿は数珠がたくさんあるように見えるため、「千珠」と呼ばれ、それが変化してセンダンとなったとする説、千団子祭の団子になぞらえたとする説などがある。自然環境であれば落下した果実から発芽する確率は高い。種子の直径は1.5~2センチほどで数珠に使うことができる。
・センダンの果実は落葉後も枝に残り、ヒヨドリ、ムクドリ、ミヤマガラスなどの野鳥はこれを食べるが、人間にとっては不味くて食用にならない。また、個人差はあるが、果実を五粒以上食べると嘔吐、腹痛、胃炎、呼吸停止を引き起こすとされる。漢方ではセンダンの果実を「苦練子」と呼び、整腸、鎮痛、あかぎれ、ひびわれに使う。
・葉は左右非対称の小葉が複数集まって羽根状になる。葉全体の長さは50センチほど。「栴檀は双葉より芳し」(センダンは苗の段階から良い香りがするように、才覚のある人物は幼少時からそれを発揮するという意味)で知られるが、本来これは熱帯アジア産のビャクダン(白檀)を語ったもの。センダンの枝葉や材には香りがない。
・幹は直立し、樹高は15~30mほどになるが、成長に伴って樹皮は縦に裂ける。樹皮(苦練皮=くれんぴ)はお腹の虫除け、茎葉は農業用の殺虫に、材は建材や器具材、象嵌などとして使われる。また、最近では犬猫の健康補助食品としてセンダンの葉のエキスが売られている。
・センダンの木には魔除けの霊力があり、罪人への恨みを消し去るという。かつて獄門のさらし首用にこの材を使ったという言い伝えがあるため、庭に植えるのを忌み嫌う風習があった。しかし、かつて宮中では5月の節句にセンダンの花を用い、枕草子においても花の趣が称賛されている。
【センダンの育て方のポイント】
・自生地は温暖な沿海の山地が多いが、宮城県以南であれば植栽はできる。
・日向であれば土質を問わず丈夫に育ち、花や実をつける。花はたいてい高い場所に咲き、観察しづらい。
・剪定は好まず、自然樹形をいかすのがよい。成長が早く、太い枝を真横あるいは斜上させる特徴があるため、一般家庭の庭木としては余りお勧めできない。花はその年に伸びた枝の付け根に咲くため、それよりも深く切ると花が咲かない。
【センダンの品種・似ている木】
・シロバナセンダン(白花栴檀)
ごく稀に見られる白い花が咲く品種
・斑入りセンダン
葉に白い模様が入る品種
・トウセンダン(唐栴檀)
中国を原産とするセンダンの仲間。木の雰囲気はよく似るが、画像のように葉の縁にギザギザがないこと、果実がセンダンより大きく(直径3センチ弱)なることなどで見分けられる。漢方ではこの果実を「川楝子(せんれんし)」と呼び、鎮痛や駆虫に使う。なお、日本に自生するセンダン科の樹木はセンダンのみで近縁種はない。
・インドセンダン(ニーム)
インドを原産とするセンダン科の常緑樹。葉や樹皮に昆虫の生育を阻害する成分を含んでおり、日本でも「虫除けの木」として苗木が流通している。
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センダンの基本データ
【分類】センダン科/センダン属
落葉広葉/高木
【漢字】栴檀(せんだん)/楝/樗
【別名】オウチ/オオチ/アフチ
アミノキ/金鈴子/雲見草
【学名】Melia azedarach
【英名】Chinaberry
【成長】かなり早い
【移植】困難
【高さ】5~30m
【用途】街路樹/公園
【値段】2000円~