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ジューンベリー/じゅーんべりー
Juneberry
【ジューンベリーとは】
・北アメリカを中南部を原産とするバラ科の小高木。春に咲く清楚な花や初夏に稔る赤い果実、秋の紅葉など見どころが多く、シンボルツリーとして人気が高い。
・ジューンベリーの開花は4~5月でソメイヨシノが散る頃。新葉の展開前、枝先から伸びた花序に、直径3~5センチの5弁花を7~10輪ずつ房状に咲かせる。花弁は白いが萼が緑色であるため、リキュウバイのように緑がかった白色に見える。
・花弁は柔らかで傷付きやすく、これを戦国時代に武士が使った「采配」に見立てたのが和名の由来。花の中央には雌しべ1本と多数の雄しべがあり。雌しべの先端は五つに裂ける。ジューンベリーは花付きがよく満開時には見応えがあるものの、開花期間は短い。
・花の後にできる果実は直径1センチほどで、6月頃に収穫できることからジューンベリーという俗称が付けられた。赤黒く熟すジューンベリーの果実は酸味が少なくて程良い甘みがあり、鳥も好んで食べにくるが、食感はあまり良くないためジャムや果実酒にするのがお勧め。
・葉は長さ6~10センチの歪んだ卵形で先端が尖り、縁には二重のギザギザがある。枝から互い違いに生じ、内側に反り返るような感じで育つが、乾燥した場所ではその傾向が著しい。ジューンベリーは落葉性であり、秋になると紅葉あるいは黄葉するがその期間は短く、また平地ではあまり綺麗に色付かない。
・ジューンベリーの仲間は北アメリカを中心にヨーロッパやアジアなど世界各地に見られる。日本にもザイフリボクという木が自生するが、庭木としての利用は少ない。
【ジューンベリーの育て方のポイント】
・単植でも結実するため、果樹の中では扱いやすい部類に入る。耐寒性や耐暑性があり、北海道南部から九州まで幅広い地域に植栽できる。
・いろいろな交雑種があるものの、背丈の低いものを選べば剪定等の管理がしやすく、狭い庭でも維持しやすい。なお、剪定は冬期に不要な枝を付け根から切除する。
・半日陰にも耐えるが、花や実を十分い楽しむためには、日当たりの良い場所に植える必要がある。
・基本的には丈夫な性質を持つが、夏の乾燥にややや弱い。また、土質は選ばずに育つが、多少湿気があり、石灰分を含んだ土壌を好む。
・まれにカイガラムシ、アブラムアシ、テッポウムシの害に遭うが基本的には病害虫が少ない。
【ザイフリボクとの見分け方】
・在来のザイフリボク(シデザクラあるいはニレザクラともいう)は中京地方に多く、ジューンベリー同様の白い花を咲かせるが、ジューンベリーよりも花数は少ない。また、ジューンベリーは葉に先駆けて開花するが、ザイフリボクは葉と花が同時に展開するため、ジューンベリーのような華やかさはない。
・ジューンベリーは名前のとおり6月ころに果実が熟すが、ザイフリボクの果実は9月頃に熟す。
【ジューンベリーの品種】
・狭い庭には「リージェント」や「バレリーナ」という品種が向いている。特に後者は果実が大きめであり、果樹として好まれる。
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ジューンベリーの基本データ
【分類】バラ科/ザイフリボク属
落葉広葉/小高木
【漢字】─(じゅーんべりー)
【別名】アメリカザイフリボク
セイヨウザイフリボク
カナダザイフリボク
【学名】Amelanchier canadensis
【英名】Juneberry
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】5~10m
【用途】花木/果樹/切花
シンボルツリー
【値段】1000円~