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シダレザクラ/しだれざくら/枝垂桜
Shidare-zakura(Weeping cherry)
【シダレザクラとは】
・バラ科サクラ属の落葉高木で、広い意味ではヤマザクラ系統のキクシダレなども含めた「枝が垂れ下がるサクラ全般」を意味するが、園芸的にはエドヒガンの変種及びその園芸品種のうち、枝が長く垂れ下がる特徴を持つものをいう。
・栽培品であり自生地はないが、観賞用として日本各地の公園や寺社に植えられる。福島県田村郡にある「三春滝桜」もシダレザクラであり、他にも京都府の円山公園や東寺、平安神宮、東京都の六義園、仙台市の榴岡公園など名所が多い。
・開花は葉の展開に先立つ3月下旬~4月上旬で、直径2~3センチの花が2~4輪ずつ垂れ下がる。花弁は5枚で先端が二つに分かれ、1本の雌しべを20~25本の雄しべが囲むように生じる。花弁はほぼ水平に開き、花柱は上部が広がり、下部は軟毛が密生する。
・花の色は淡い紅色あるいは淡い紅白だが、満開時は真っ白になるのが普通。ただし、花の色形や大きさには個体差や変異が多い。
・あまり見る機会はないが、花の後には小さな球形のサクランボがなり、5~6月には黒紫色あるいは黒紅色に熟す。繁殖は実生のほか挿し木や接ぎ木による。
・シダレザクラの葉は長さ3~4センチ、幅2~3センチの細長い楕円形で両端が尖り、縁には細かなギザギザがある。また、細かな葉脈がたくさんあり、葉脈上には細毛が目立つ。
・枝は幹から横に広がって生じ、長く垂れ下がった小枝から、互い違いに葉が生じる。柔らかな細い枝が枝が糸のように幾筋も垂れ下がることから、別名をイトザクラという。
・シダレザクラは寿命が長く、樹齢を重ねるとゴツゴツした幹が直径1mにも達する。国の天然記念物に指定される「三春滝桜」の樹齢は推定1000年で、幹の円周は9.4mにも及ぶ。
【シダレザクラの育て方のポイント】
・基本的には冷涼な気候を好み、性質はエドヒガンと同じ。日当たりと適度に湿った土壌を好み、日陰では育ちが悪く、開花も難しい。
・乾燥を嫌うため、植える場所にはあらかじめ腐葉土を入れ、保湿性を高めるのがよい。
・優雅に枝垂れる樹形を観賞するには相当なスペースが必要であり、結果として社寺や公共のスペースに多い。樹齢も長いため長期的な視点での管理が必要。
・他のサクラ同様、病害虫の被害が見られるため、不要な細枝は剪定するなどして通風を確保した方がよい。
・花が咲くのは前年に伸びた枝の葉の脇であり、秋以降に剪定すると花が咲かないことがある。
【シダレザクラの品種】
・ベニシダレザクラ
淡い紅色の花が咲く品種。花弁が15~20ある八重咲きのヤエベニシダレ(=エンドウザクラ)と合わせると、植栽されているシダレザクラの大多数を占める。単にベニシダレという場合、枝垂れ性のカエデであるベニシダレと混同しやすい。
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シダレザクラの基本データ
【分類】バラ科/サクラ属
落葉広葉/高木
【漢字】枝垂桜(しだれざくら)
【別名】イトザクラ(糸桜)
シダリザクラ/ベニシダレ
【学名】Cerasus spachiana var.
spachiana f. spachiana
【英名】Shidare-zakura
Weeping cherry
【成長】早い
【移植】成木は困難
【高さ】4~20m
【用途】庭園/公園
【値段】2、000円~