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シウリザクラ/しうりざくら
Siw-ni cherry tree
【シウリザクラとは】
・北海道、本州中部及び隠岐島(島根県)に分布するバラ科の落葉樹。果実(サクランボ)や樹皮に苦味があることから、アイヌ語で「苦い木」を意味する「シウニ」と呼ばれ、それが転じてシウリザクラとなった。北方領土やアジア大陸東北部にも分布するが、和名も学名も上記のアイヌ語に由来する。
・初夏に咲く花はソメイヨシノのような典型的な桜花ではなく、ブラシ形をした白い穂状になる。かつてはサクラ属の一種であったが、現在は同じような花が咲くウワミズザクラ属に分類され、ウワミズザクラよりも高冷な山地の谷や沢沿いに自生する。
・シウリザクラの開花は新葉が展開し終えた5~6月。本州では全てのサクラが咲き終わった頃、その年に伸びた若い枝に長さ12~20センチの花序ができる。花は直径7ミリほどの小さな五弁花の集合体 で、雄しべは花弁と同じか、やや短い。
・花の後にできる果実(サクランボ)は直径8~10ミリの球形。8~9月になると暗い紅色~黒に熟す。果実の内部には淡い褐色の種子を一粒含む。
・葉は先端は尾状に尖った長楕円形~卵形で長さ7~15センチ、幅3~7センチほど。若葉は赤みを帯びて枝から互い違いに生じ、ウワミズザクラ同様、花が咲く新枝にも小さな葉を生じる。
・ウワミズザクラやイヌザクラよりも葉は大きくて幅が広く、葉の基部が明らかなハート形になるのがウワミズザクラとの違い。葉の縁には細かなギザギザがあってその先端はトゲ状に細く伸び、葉柄の上部には蜜腺と呼ばれる一対の突起物がある。
・樹高は最大15mほど、直径は60センチほどになる。樹皮は紫あるいは灰色を帯びた褐色で、樹齢を重ねると縦に剥離する。材はヤマザクラに似た赤褐色で、家具や器具、漁具や楽器(ピアノやオルガンの外枠)に使われた。
【シウリザクラの育て方のポイント】
・樹形は自然に整うが壮大になるため一般家庭の植栽には向かない。
・丈夫な性質を持つが、自生地は冷涼な山間の沢沿いであり、湿気と栄養分のある土地を好む。
・花が咲くのはその年に伸びた枝先であり、3~4月に剪定すると花数は少なくなる。
【シウリザクラに似た木】
エゾノウワミズザクラ
シウリザクラの基本データ
【分類】バラ科/ウワミズザクラ属
落葉広葉/高木
【別名】ミヤマイヌザクラ
シオリザクラ
【学名】Prunus ssiori
F.Schmidt
【英名】─
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】10~15m
【用途】花木/用材
【値段】800円~