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サワシバ/さわしば/沢柴
Heartleaf hornbeam
【サワシバとは】
・沖縄を除く日本全国に分布する落葉高木。やや標高の高い沢地や川沿いの斜面に多く、成長の早さから薪(柴)に使われたためサワシバと名付けられた。日本以外でも朝鮮半島や中国に見られる。
・イヌシデ、アカシデ、クマシデと同じシデの仲間だが、本種はなぜか「シデ」ではなく「シバ」が本名。しかし、地方名としてはサワシデ、シバシデ、ミズシデ、マメシデなどがある。ちなみにシデは神事に使われる紙垂に由来し、花の様子にちなむ。
・サワシバの葉は枝から互い違いに生じ、長さは7~14センチほどになる。先端は細く尖り、表面には葉脈が規則的に並ぶ。同属のクマシデと似たような葉だが、サワシバは葉の付け根が明瞭なハート型になること(クマシデはクサビ形)、葉脈(側脈)がクマシデよりも少なく、葉脈上に毛が少ないことで見分けられる。
・開花期は葉が展開する4~5月。雌雄同株で花には雌雄があり、雄花は前年の枝に、雌花は当年の枝に垂れ下がって咲く。数が多くてより目立つのは黄緑色の雄花であり、長さは5センチほどになる。一方、雌花は枝先で新葉に包まれるように咲く。雌花は雄花よりも赤みを帯びるのが特徴。
・8月頃から画像のような実(果穂という)ができ、10月頃に熟すが、落葉後もしばらく枝に残る。果穂は長さ10センチほどでクマシデと比べるとやや長く、形はより整った円筒に近い。
・サワシバの材は緻密で硬く、器具を作るのに使われる。
【サワシデの育て方のポイント】
・名前のとおり湿気を好むため、乾燥地では育てにくい。また、比較的冷涼な場所を好み、気温の高い平地では葉に元気のないものが多くなる。
・葉が大きくて繊細さに欠けるとして庭木として積極的に使われることは少ないが、果穂の面白さや新緑と黄葉の美しさから、北海道や本州の避暑地など栽培適地では利用価値がある。
・樹高は15m以下にとどまり、この手の高木としては低い部類に入るが、直径は50~60センチほどと大きくなる。また、枝葉は密生して夏季は鬱蒼としやすいため、広い場所の緑陰樹として用いたい。
【サワシバに葉っぱが似ている木】
・クマシデ
サワシバの基本データ
【分類】カバノキ科/クマシデ属
落葉広葉/高木
【漢字】沢柴(さわしば)
【別名】サワシデ/ヒメサワシバ
チョウチンシデ/シバシデ
ミズシデ/マメシデ
【学名】Carpinus cordata
【英名】Heartleaf hornbeam
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】10~15m
【用途】公園
【値段】800円~