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サンシュユ/さんしゅゆ/山茱萸
Japanese cornel dogwood
【サンシュユとは】
・朝鮮半島及び中国を原産とするミズキ科の落葉樹。春に咲く黄色い花や、秋にできる赤い果実を観賞するため、江戸時代から庭木として各地に植栽される。漢字表記は山のグミを意味する「山茱萸」であり漢名に由来する。日本ではこれを音読みしてサンシュユとした。
・サンシュユが日本へ渡来したのは享保7年(1722年)のこと。享保の改革の一環として薬用目的に中国から輸入され、小石川御薬園(現小石川植物園)に植栽されたものが後に広まった。正しい漢名(中国名)は「野春桂」であり、「山茱萸」は誤用とされる。
・開花は3~4月。ウメやマンサクに少し遅れるが、他の花木よりは早い。鮮やかな黄色の花が咲くことから、「春小金花」との異名を持つ。開花期には木全体が黄金色に染まって美しい。
・花は小花20~30輪が径2~3センチの半球状に集まって咲く。それぞれの小花には花びらが4枚と1本の雌しべ(柱頭)があり、4本の雄しべが目立つのが特徴。花が終わりかけると新葉が展開する。
・木の雰囲気は異なるが、ハナミズキやヤマボウシと同じミズキ科に属しており、夏になる頃、それらと似たような葉になるが、サンシュユの葉の裏側には薄茶色の細かい毛が目立つ。葉は楕円形で縁にギザギザはなく、先端が尖る。枝から対になって生じ、平行に走る葉脈が目立つ。秋にはややメタリックな黄褐色に変わるが、綺麗に黄葉するのは稀で、たいていは朽ちてシワシワな葉になる。
・果実は直径1~2センチの扁平球。9~11月になると鮮やかに赤く熟すため、アキサンゴ(秋珊瑚)という別名がある。ビタミンCが豊富に含まれ、甘酸っぱくて美味しいがヒヨドリやオナガ以外の野鳥にはあまり人気がない。
・学名にあるofficinalisは薬を意味し、漢方ではサンシュユの果実に冷え症、不眠、腰痛、低血圧等の効果があるとされ、六味地黄丸にも使われる。中国では古来、サンシュユの実を一日に2~3個ずつ食べれば、不老や強壮の効果があるとされる。
・サンシュユは健康食品や果実酒としても利用されるが、食用に特化された「ショリコ」という品種は、通常の3倍ほどの大きな果実ができる。薬用にするのは種(核)を取り除いた果肉を乾燥させたもの。
・リョウブのように剥がれ落ちる樹皮が特徴的であり、花や実がない時季でも観賞価値があるため、公園や寺社、茶庭に好んで植えられる。
【サンシュユの品種】
・上記のショリコのほか、葉に白い模様が入る斑入りサンシュユがある。
【サンシュユの育て方のポイント】
・花を存分に楽しむためには日向に限るが、非常に丈夫な木で、植え場所を選ばない。
・剪定にも耐えるが本来は株立ち状の自然樹形が美しいため、枝を大きく広げるように育てたい。このため、他の植木と枝が当たらないように植えるのが望ましく、相当なスペースが必要。画像のように丸く刈り込むのは見苦しい。
【サンシュユと同じ頃に似たような花が咲く木】
【サンシュユに名前が似ている木】
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サンシュユの基本データ
【分類】ミズキ科/ミズキ属
落葉広葉/小高木~高木
【漢字】山茱萸(さんしゅゆ)
【別名】ハルコガネバナ(春小金花)
アキサンゴ(秋珊瑚)
ヤマグミ(山茱萸)
【学名】Cornus officinalis
【英名】Japanese cornel dogwood
【成長】やや早い
【移植】簡単(根は粗い)
【高さ】3~15m
【用途】花木/公園/切花/盆栽
【値段】1000円~