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エニシダ/えにしだ/金雀枝

Scotch broom

エニスダ,花,画像,えにしだ
初夏に金色の輝きを放つエニシダの花
えにすだ,ツボミ,えにしだ
蕾の様子
金雀枝,えにしだ
花は枝にびっしりと咲く
えにすだ,エニスダ,はな
基本種は真っ黄色の花だが・・・
エニスダ,えにしだ,種類
園芸品種が豊富(画像はホオベニエニシダ)
えにしだ,木
花と実の様子
エニシダ,マメ,豆,えにしだ
果実は10月ころに黒く熟す
えにしだ,実
熟しきった豆果の様子

 

【エニシダとは】

・地中海沿岸のヨーロッパ及びアフリカ各地を原産とするマメ科エニシダ属の半落葉性低木。江戸時代の延宝年間に中国を経由して日本へ渡来した。鮮やかな黄色い花を観賞するため、庭木や生け花の花材などに広く使われる。

 

 

・ホウキのような樹形に育つのが基本であり、ヨーロッパではその様子を魔女が使う箒に例えた。魔女の箒はエニシダの枝で作り、エニシダが茂る家は主婦が強いとすると言い伝えがある。

 

 

・エニシダの開花は初夏(5~6月)で、マメ科特有の蝶々のような花が咲く。花は長く伸びた緑色の枝にびっしりと咲き、黄色と緑のコントラストが際立つ。シベは花弁の内側に隠れているが、ハチが訪れて受粉を終えた花ではシベが露出する。

 

 

・花の色は黄色が基本だが、横側にある弁(側弁)に赤が入る品種(ホオベニエニシダ)や、乳白色が混じるものなど園芸品種は豊富にある。

 

 

・花の後には画像のような豆果ができ、8~10月に熟す。豆果には直径3ミリほどの種子が多数入っており、熟すと自然に弾けて10m以上飛んでいく。このため野生化したエニシダが川原の土手や荒れ地に見られる。

 

 

・葉は3枚の小葉が一組になって枝から互い違いに生じるが、小葉が1枚しかないものも見られる。幹は直立するが緑色をした細い小枝が四方八方に伸び、花の頃は弓状にしなる。

 

 

・どことなく日本語風の名前の由来は、ラテン語の「genista(ゲニスタ)」にあり、渡来した当時の日本人が聞き間違えてエニシダになったとされる。漢字表記は元々「金雀花」で、小さな花が並ぶ様を金色のスズメに例えたものだが、中国ではムレスズメを示すため、「金雀枝」や「金雀児」に修正された。

 

 

・エニシダは株全体にアルカロイド毒のスパルティンという物質を含み、誤って食すと頭痛、嘔吐、血圧降下、呼吸困難を引き起こす。

 

 

【エニシダの育て方のポイント】

・暖地性であるが北海道中部以南であれば植栽できる。

 

 

・日当たりの良い肥沃な土地を好むが、環境への適応力は高く、条件の悪い場所でも育つため、海岸の砂防に使うことができる。

 

 

・成長が早く枝葉がよく茂るため、広い場所に植えるか、頻繁に刈り込む必要がある。剪定には強い方だが、強度に刈り込むと枯れることもある。花が咲くのは前年に伸びた枝であり、冬季に強く剪定すると開花を望めない。

 

 

・垣根などに使うこともできるが頻繁に刈り込むと花つきは悪くなる。また、半落葉性であり、関東以北では冬季に葉を落とすため、目隠しとして植えるには不向きである。

 

 

・枝葉がよく茂るわりには根の張りが浅いため、特に植え付けの初期には支柱を立てるなどして風害に備えたい。

 

 

【エニシダの品種】

・ホオベニエニシダ~花色が鮮やかなことに加え、耐寒性が高いため最も庭植えに適した品種。アカバナエニシダとも呼ばれる。

 

頬紅金雀枝
ホオベニエニシダ

 

・八重エニシダ(セッカエニシダ)~葉が扁平した品種。白花エニシダと共に切り花として流通する。

 

 

・ヒメエニシダ~~小株でも花つきがよいため鉢植えに使われる。

 

 

【エニシダに似た花木】

ムレスズメ

 

 

キングサリ

 

 

【エニシダに名前が似ている木】 

ベニシダレ

 

エニシダの基本データ

  

【分類】マメ科/エニシダ属

     半落葉広葉/低木

【漢字】金雀枝(えにしだ)

【別名】エニスダ

【学名】Cytisus scoparius

【英名】Scotch broom

【成長】かなり早い

【移植】やや難しい(根が荒い)

【高さ】1~3m

【用途】洋風庭園/公園

    鉢植え/切り花/砂防

【値段】800円~

 

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