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エドヒガン/えどひがん/江戸彼岸
Edohigan cherry tree
【エドヒガンとは】
・本州、四国及び九州の山地に自生する天然のサクラの一種。江戸とはいえ、中国や朝鮮半島にも分布する。日本では関東地方に多く、春の彼岸の頃に咲くことからエドヒガンあるいは別名のアズマヒガンと命名された。ウバヒガンという別名は開花期に葉がない様子(葉なし)を、老女(姥)の歯なしにかけたもの。
・サクラの中では最も寿命が長く、樹齢千年を超えると伝わる古木、名木は天然記念物に指定されるものもある。岩手県盛岡市の「盛岡石割桜」、福島県大玉村の「馬場桜」、埼玉県北本市の「石戸蒲桜」、山梨県北杜市の「山高神代桜」、岐阜県本巣市の「根尾淡墨桜」、岡山県真庭市の「醍醐桜」など地名や樹姿によって様々に命名されるが、いずれも品種はエドヒガン。
・ソメイヨシノは本種とオオシマザクラを掛け合わせたもの。また、一般的にいうヒガンザクラは、彼岸の頃に咲く桜の総称だが、その多くは本種を親としている。
・花の直径は3センチ弱で、5枚ある花弁は先端が浅く切れ込む。色は薄紅色が多いが、真っ白の花もある。2~5輪ほどがまとまって咲くのがふつう。ソメイヨシノに比べると花弁の幅が狭く、花の基部にある萼筒が膨らんでいる。開花は3~4月。
・花の後には直径1センチほどのサクランボができ、6月末にかけて熟すが、酸味が強くて食用にはならない。
・葉は細い卵形で枝から互い違いに生じ、長さ6~12センチほどになる。先端は尖り、縁には鋭いギザギザがある。葉、葉柄、花柄には毛が多い。秋に多少黄葉するが落葉が早く、観賞できる期間は短い。
・樹皮は年を経るにつれて柿の木のように剥離する。他のサクラにはあまり見られない特徴であり、見分ける際のポイントとなる。材は薪に使われる。
【エドヒガンの育て方のポイント】
・自生は日当たりのよい山地。日向を好む陽樹であり、日陰では育ちが悪く、開花も難しい。
・乾燥を嫌うため、植える場所にはあらかじめ腐葉土を入れ、保湿性を高めるのがよい。
・他のサクラ同様、病害虫の被害が見られるため、定期的な管理が必要。
【エドヒガンの園芸品種】
・シダレザクラ、ベニシダレ、ヤエベニシダレなど
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エドヒガンの基本データ
【分類】バラ科/サクラ属
落葉広葉/高木
【漢字】江戸彼岸(えどひがん)
【別名】アズマヒガン/ウバヒガン
タチヒガン
【学名】Prunus pendula f. ascendens
【英名】Edohigan cherry tree
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】10~20m
【用途】公園・寺社
【値段】1000円~