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イヌザクラ/いぬざくら/犬桜
Japanese bird cherry
【イヌザクラとは】
・本州、四国及び九州に分布するサクラの仲間。沢沿いの樹林や里山に多く、4月~5月にかけて白い穂状の花を咲かせる。ウワミズザクラに似るが、イヌザクラとは異なるため「犬」を冠してイヌザクラと呼ばれる。
・葉は長さ5~10センチほどの長楕円形で、枝から互い違いに生じる。先端が尖り、縁には波状の浅いギザギザがあるが、ウワミズザクラの葉の縁にあるような三角形の鋭い棘状のものはない。また、ウワミズザクラに比べると葉の幅は狭く、もっと広い箇所は葉の中心より上方であり楔形に近い。
・開花は葉の展開とほぼ同時。前年に伸びた枝から長さ10センチほどの穂状の花序(花の集り)に、直径5~7ミリの小さな五弁花がまばらに咲く。小花の中央には雌しべが1本あり、それを12~20本の雄しべが囲むが、雄しべは花弁の外側に突き出すほど長い。
・ウワミズザクラとの違いは、花穂の軸の下部に葉っぱがないこと、花がまばらであること、花の中心部が黄色っぽく、全体に小ぶりであること。また開花期はウワミズザクラよりやや遅い。
・花の後にできる果実は円形に近く、黄色、赤、黒紫色へと変化し、7~9月に熟すが、苦みがあって食用になりにくい。ウワミズザクラの萼片は雄しべと共に落下するが、イヌザクラの萼片は果実が熟しても残っている。
・ウワミズザクラと同じように、枝を折ったり切ったりすると臭気が漂う。樹皮は画像のように光沢のある暗灰色で、ヤマザクラやソメイヨシノなどのそれとは異なる。
【イヌザクラの育て方のポイント】
・日本の山地に自生する木であり育てやすい。
・日当たりがよく水はけの良い場所を好む。半日陰程度なら耐える。
・一般家庭に植えた場合は、大きくなり過ぎないよう芯を止めて高さを維持する必要がある。
・樹皮に特有の臭気がある。
【イヌザクラに似た花木】
・リンボク
・エゾノウワミズザクラ
イヌザクラの基本データ
【分類】バラ科 ウワミズザクラ属
落葉広葉 高木
【漢字】犬桜(いぬざくら)
【別名】シロザクラ
【学名】Prunus buergeriana Miq.
【英名】Japanese bird cherry
【成長】早い
【移植】ふつう
【高さ】10m~15m
【用途】公園/庭園
【値段】800円~