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アマチャ/あまちゃ/甘茶
Sweet Hydrangea
【アマチャとは】
・日本各地で栽培されるヤマアジサイの変種。自然界に自生はなく、園芸品種に限られるという説と、関東や中部の一部地域で稀に自生するという説がある。
・乾燥させた葉を煎じて飲むと甘味があり、これを釈迦の誕生を祝う灌仏会(花まつり)に使うことで知られる。釈迦の誕生日は旧暦の4月8日で、摩耶夫人がカピラ城のルンビ二園で無憂樹の花に触れたときに産まれたとされる。
・生の葉には甘味がなく、夏から秋の葉を陰干しして発酵させた後、よく揉んで更に乾燥させると、フイロズルチン(フィロズルシン)という物質の作用によって甘味が出る。アジサイもアマチャも似たような葉だが、アジサイの葉にはこの成分がない。
・灌仏会に限らず、甘味料として使うことができるため家庭に植えられてきた。醤油の味付け、糖尿病患者向けの砂糖の代替品として使うことができる。商業生産の主要な産地は伊豆や信州で、夏から秋に採取した葉を使う。
・葉は長さ10センチ弱の楕円形でヤマアジサイに似るが、より小さくて赤紫色を帯びる。葉は表面に光沢がなく、枝から対になって生じる。枝は赤紫あるいは紫がかった褐色。
・開花は5~6月。ガクアジサイと同じ構造であり、周辺にあって人目を惹くのは装飾花(萼片)。本当の花はごく小さく、中央部に密生する。花は両性花で、開花後は乾いた実ができる。
・アマチャの萼片は淡い紫から紅色に転じるが、ヤマアジサイは個体によってピンク、紫、白、藍色と多様になる。ただし、個体差や環境による変化が大きいため、花の見た目で両者を見分けるのはほぼ不可能である。
【アマチャの育て方のポイント】
・性質はアジサイと同様で直射日光を好まない。日陰~半日陰が植栽に適する。
・やや湿った肥沃な土地を好み、日照りが続くと葉に元気がなくなる。
・病害虫に強い。
・剪定に強いが、アジサイほど大きくならず、枝が細いため管理しやすい。
・株分け、実生でふやすことができる。
【アマチャの品種】
・オオアマチャ
アマチャよりも枝葉が大きく、花(萼片)は青紫色になる。
・アマギアマチャ
伊豆の天城山を中心に分布するアマチャの一種で、白い花が咲く。葉の幅はアマチャよりも狭く、生でも甘味があるのが大きな特徴。ちなみに天城山(甘木山)という名前はそもそもこの木にちなんで名付けられたという。
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アマチャの基本データ
【分類】アジサイ科/アジサイ属
落葉広葉/低木
【漢字】甘茶(あまちゃ)
【別名】アマチャ
【学名】Hortensia serrata
var. thunbergii
【英名】Sweet Hydrangea
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】0.7m~2m
【用途】花木/甘味料/切花/鉢植え
【値段】500円~