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リンゴ/りんご/林檎
Apple tree
【リンゴとは】
・ヨーロッパ東南部、中央アジア及び西アジアを原産とするバラ科の落葉樹。ブドウや柑橘類と並ぶ重要な果樹の一つであり、有史以前から栽培されていたことが遺跡によって証明されている。
・リンゴという名は中国語の「林檎」の発音、「リンキン」あるいは「リンゴン」が転訛したもの。「林檎」を古くは「来禽(らいきん)」と記し、鳥が来る木であることを意味する。
・平安時代~江戸時代までは中国産のリンゴ(和リンゴ)をリンゴ(古くはリンコウ、リンゴウ)と呼んで食していたが酸味の強いものであった。直径も3~4センチと小さく、明治以降になってセイヨウリンゴに取って代わられた。
・セイヨウリンゴはコーカサス地方が原産。江戸時代末期~明治初期に開拓使を通じてアメリカなどから輸入された品種を日本で品種改良し、ズミやエゾノコリンゴに接ぎ木した。主要産地は青森県と長野県であり、青森県ではリンゴを県の花に指定している。
・リンゴは知恵、愛、美、不死、豊穣の象徴とされる。ニュートンはリンゴの果実が落ちるのを見て万有引力を発見した、アダムとイブは禁断のリンゴの果実を食べたためにエデンの園を追放されたといったリンゴをめぐる話は古今東西に多い。
・葉は縁にギザギザの目立つ楕円形で、枝から互い違いに生じる。長さ6~13センチの広い楕円形または卵形で、若い枝葉には灰白色の綿毛が密生する。
・リンゴの開花は4~5月で、直径3~4センチの5弁花が短枝の先に数輪ずつまとまって咲く。蕾はピンクだが、開花すると白あるいはピンク色を帯びた白になり、リンゴの産地は真っ白な花に埋もれる。花の中央には20本の雄しべと基部が合着した5本の花柱があり、花柄や萼片にも綿毛が密生する。枝一面に咲き誇る様は美しく、観賞用の庭木としても使われる。
・果実は直径4~12センチで両端がくぼむ。色形や大きさは品種によって異なり、青いまま収穫する品種や果皮の黄色い品種もある。収穫は夏の終わりから晩秋で、10~11月に熟すものが多いが、早熟の早生種は8月に収穫できる。
・果実は栄養分を多く含み、古くから滋養のある果実として知られ、乾燥させたものを薬用した。現代では生食のほか、ジャム、ジュース、ゼリー、果実酒、リンゴ酢などに加工される。食用にするのは子房ではなく花托と呼ばれる部分であり、子房は果実の中心で硬くなる。
・若い木の樹皮は黒紫だが樹齢を重ねると灰褐色になる。放任すれば傘型の樹形になるが、果樹として栽培する場合、収穫しやすいよう背丈程度の高さに留め、剪定を繰り返して管理する。
【リンゴの育て方のポイント】
・商業生産がなされているのは北海道、東北、長野、北陸であり、冷涼かつ昼夜の寒暖差が大きい地方に適する。
・夏の高温多湿、春の遅霜、雨の多い暖地を嫌う。寒い地方の方が果肉が締まって美味になる。
・自家受粉が難しいため、人工授粉させるか、開花時期が重なる二品種以上を一緒に植える必要がある。
・赤星病、うどん粉病、黒星病などの病害、シンクイガ、ヤママユガ、マイマイガなど蛾の幼虫による被害がある。外観も味も望ましい果実を得るには、果実を間引いたり、袋を掛けたり、消毒したりといった手間が必要になる。
・一般的なリンゴは結実までに5~6年かかる。家庭栽培の場合、背丈があまり大きくならず、かつ3~4年で収穫できる矮性品種(アルプス乙女など)を選んだ方がよい。
【リンゴの品種】
・陸奥、津軽、王林、富士、紅玉、祝、スターキングデリシャス、ゴールデンデリシャス、紅玉、国光、旭、王鈴、世界一など多数。
【リンゴに似ている木】
・ズミ
・ナシ
・エゾノコリンゴ
・ノカイドウ
・オオウラジロノキ
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リンゴの基本データ
【分類】バラ科/リンゴ属
落葉広葉/低木~高木
【漢字】林檎(りんご)
【別名】セイヨウリンゴ
【学名】Malus pumila
【英名】Apple tree
【成長】やや遅い
【移植】普通
【高さ】3~10m
【用途】果樹/庭園
【値段】1,500円~