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ヨコグラノキ/よこぐらのき/横倉木
Yokoguranoki tree
【ヨコグラノキとは】
・本州(宮城県白石市以南)、四国及び九州に分布するクロウメモドキ科の落葉低木。1884年に植物学者の牧野富太郎が、高知県越智町にある横倉山で発見したことにちなんでヨコグラノキと命名された。
・牧野氏は当初、本種を横倉山の特産と考えたようだが、その後、日本各地で見付かり落胆したとのエピソードがある。それでも分布は稀であり、石灰質の崖地や渓流沿いに限定的に生じる。絶滅が危惧されているが、日本以外でも中国の中部や朝鮮半島に自生が見られる。
・長楕円形の葉は枝から互い違いに生じるが、環境によってはコクサギのように左右2枚単位で互い違いに生じる。葉の長さは8~10センチ、幅は3~5センチほどで先端は尖る。葉の縁は大きく波打つが、ギザギザはない。葉は薄く、落ち葉は画像のようにすぐに萎れるが、よく似たネコノチチよりは厚い。葉の裏面は白っぽいが両面とも毛はない。日当たりの良い場所であれば秋に黄葉するが、葉脈沿いに多少の緑色が残る。また、若い枝は赤紫を帯びた褐色であるが、樹齢を重ねると褐色になる。
・6月頃に黄緑色の花が半開きに咲くが、あまり目立たない。花の後にはすぐに実ができ、熟すにつれて緑色から黄色、赤へと変わる。完熟は8月ころで赤黒くなる。実はネコノチチに似た長楕円形で直径は6~8ミリほど。
・ヨコグラノキの樹皮はコルク質で隆起が多く、老木になると縦に割れ目や網目模様が入る。
・自生の北限とされる宮城県白石市小原には「ヨコグラノキ北限地帯」という天然記念物に指定されていたが、七ヶ宿ダムの建設によってその半数が水没した。
【ヨコグラノキの育て方のポイント】
・希少種であり庭木としての流通は少ないが、種子を蒔けば増やすことができる。自生地は石灰岩地だが、湿気のある場所であれば比較的、土質を選ばずに育つ。
・剪定には耐えるが、樹形はまとめにくい。葉が大きめであるため一般家庭の庭木としてはあまり向いていない。
【ヨコグラノキに似ている木】
ネコノチチは葉の先端が急に尖ること、若い枝がヨコグラノキのように赤くならないことが見分けのポイント。
ヨコグラノキの基本データ
【分類】クロウメモドキ科
ヨコグラノキ属
落葉広葉 高木
【漢字】横倉木(よこぐらのき)
【別名】エイノキ
【学名】Berchemia
berchemiaefolia
【英名】Yokoguranoki tree
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】3m~15m
【用途】公園
【値段】─